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2025年04月26日 (土)
青葉賞

「多賀大社の古例大祭『多賀まつり(馬まつり)』」

投稿日:

(滋賀県 多賀町)毎年4月22日

五穀豊穣や天下泰平を祈願する春の例祭

「古例大祭」は、鎌倉時代の古記録にも現れる多賀大社年間の最重儀で800年以上の歴史があると言われています。「多賀まつり」あるいは騎馬多数の供奉が行われることから「馬まつり」とも呼ばれています。

前儀は早く1月3日から始まり、この日、祭の主役である馬頭人(ばとうにん)、御使殿(おつかいでん)の差定式が行われます。

多賀大社は「お伊勢お多賀の子でござる」とうたわれるように、伊勢神宮の親神として知られる伊邪那岐大神(いざなぎのおおかみ)・伊邪那美大神(いざなみのおおかみ)の2柱を祭神としています。

4月に入ると、馬頭人、御使殿ともに、神様を迎え入れる御神入式、神様に自ら御供物を献じる大御供式(おおみごくしき)、宵宮祭などを行い、4月22日を迎えます。

当日は、午前8時半から大祭を斎行し、午前10時には列次を整えてお渡りが出発します。その列次は、馬頭人、御使殿を中心に、氏子や崇敬者の騎馬供奉四十数頭、御神輿や御鳳輦(ごほうれん)の供奉者など実に500名におよぶ行列となり、まつり絵巻さながらに町内を巡ります。

『随身(ずいじん)』と呼ばれる供奉者をつとめる子供たち。行列には『女武者』も加わります。

馬頭人、御使殿を中心に、奴振(やっこふり)、『御幣(ごへい)』『倭舞々姫(やまとまいひめ)』『御鳳輦(ごほうれん)』、神輿などが加わる一行は総勢約500人となります。

行列は始め、栗栖(くるす)の調宮(ととのみや)神社に向かいますが、馬頭人と御使殿は別途、犬上川の下流に向かい、賓台(ひんだい)と呼ばれる河原において御弊合わせの儀式を行った後、午後2時頃、多賀大社前にて行列に合流し、尼子の打籠馬場(うちごめばば)において、ここで「富ノ木渡し式」という儀式を行います。

午後4時頃に儀式が終わると、一行はそろって多賀大社に向けて出発します。これがいわゆる「本渡り」と呼ばれるもので、祭の最大の見どころです。

午後5時に一行は多賀大社へと到着します。そこで宮司以下神職、祭の全関係者が本殿を3周する「夕日の神事」が行われ、1日をついやした大祭は終了します。

午後15時半、尼子のお旅所で行われる『富ノ木渡し式』。宮司が馬頭人と御使殿に富ノ木を渡します。この富ノ木は桂の小枝で豊作を祈るしるしです。

多賀大社

滋賀県犬上郡多賀町多賀604

アクセス
車◉名神高速道路彦根I.C.から10分 
名神高速道路湖東三山スマートI.C.から15分
電車◉近江鉄道「多賀大社前」駅下車 徒歩10分

多賀大社は春のしだれ桜、秋の奥書院の紅葉なども見事で、近辺には彦根城や湖東三山、琵琶湖などの名所にも恵まれ、年間約170万人の参拝者を迎えています。

多賀大社の起源

古くから「お多賀さん」の名で親しまれる滋賀県第一の大社で御祭神を伊邪那岐大神(いざなぎのおおかみ)伊邪那美大神(いざなみのおおかみ)としています。日本最古の書物「古事記」によると、この二柱の大神は神代の昔に、初めて夫婦の道を始められ、日本の国土、続いて天照大神をはじめとする八百万(やおよろず)の神々をお産みになられました。生命(いのち)の親神様であることから、古く「莚命長寿・縁結び・厄除け」の神様として信仰を集め、鎌倉時代から江戸時代にかけては、武家や民衆にも信仰が広まり、多賀大社の分祀社は全国に約240社を数えます。

『太閤橋』(右)天正16年、太閤秀吉は米一万石を奉納し、母大政所の病気平癒を祈りました。太閤橋や奥書院庭園は、その奉納によって築造されたと伝えています。

取材後記…元正天皇の病気に際し、大社の神主が強飯を炊き、しでの木で作った杓子を献上すると、天皇はたちまち治癒された、との伝えがあります。そのしでの木が大社に現存し飯盛木(いいもりぎ)と呼ばれています。また杓子は「お多賀杓子」として有名で、その形から「おたまじゃくし」の語源とも言われています。文/邦馬

取材協力・写真提供
多賀大社
https://www.tagataisya.or.jp
 0749-48-1101

多賀観光協会
http://taga-kankou.com/
0749-48-1553

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