全国でJRAの競馬場は10場あるが、その中で栗東の厩舎従業員が泊まりで滞在する(短期含む)競馬場は、札幌、函館、福島、新潟、中山、東京、小倉の7場。
「その中で一番好きな競馬場は?」と聞かれたら、人によって違う答えが返ってくるだろう。担当馬でGレースを勝ったからとか、美味しいものを食べられるとか、私生活でいい事があったとか…
しかし一番行くのが嫌な競馬場は?と聞くと、栗東の厩舎関係者のほとんどの人が新潟競馬場と答える。
新潟は食べ物も美味しいし、競馬場の施設も綺麗で素晴らしいのに、なぜ皆、嫌うの?
それはただ一つ、街が遠くて不便だからだ。
あたり一面、田んぼと畑しかない新潟競馬場。360度見渡して、ビルと言えば競馬場の向正面方向に見えるホテルのみだ。
新潟市内一番の繁華街、「古町」までタクシーだと片道30分以上で、7000円くらいする(昼間)。新潟駅や古町方面のバスも、競馬場に来るお客さん用に土日しか出ていない。
1番近い最寄り駅「JR豊栄駅」もそこそこ遠い田舎駅で、飲食店がそれほどある訳ではない。関西からの出張者の多くは厩舎内の食堂か、バイクや自転車で行ける、近くのコンビニや牛丼屋で買い物や食事を全てすませてしまう。
でも僕は馬の成績はそれほど良くない(3~4勝くらい?)のに、新潟競馬場がかなり好きだ。
まず厩舎構内がとても広い。全国の競馬場でもダントツだろう。
小倉や福島は厩舎構内がとても狭く、混雑を避ける為、着く時や帰りの馬運車の積み下ろしの時間が決まっている。帰りは15:00~17:00までは積み込み禁止だ。早い時間のレースで終わっても、かなり待たされるのだ。
でも新潟は広くて混まないため、行きも帰りも自由な時間帯を指定できる。
馬を運動する場所もたくさんあり広いので馬も落ち着くし、自然豊かで樹木も多く、野鳥や動物などもよく見られる。僕が馬と運動していると前にキジが歩いていて、しばらく一緒に散歩した事もある。
2020年5月、コロナ禍真っ盛りで、コンビニ以外の外出禁止令が出ていた新潟競馬場に出張で行った時の事だ。
装鞍所に行くと、何人かの人が上の方を見上げてザワついていた。「フクロウおる!」「こっちにもおるで!」パッと見える所だけでも4羽いた。
野鳥大好きで、北海道東部まで特別天然記念物、シマフクロウを観に行ったこともある僕だが、夜行性の野生フクロウが昼間に見られるなんて…。同僚の馬の馬装のお手伝いをしつつ、ずっとフクロウばかりを見ていた。
そんな馬の成績と関係ない思い出がいっぱいある新潟も、先月に行ったのが人生最後かもしれない。そのレースが新潟しかない、1000m芝直というのもGood!
出張に行くと、各地の名物を食べ歩くのも楽しみの一つ。日本一の日本酒県(酒蔵数)の新潟はお酒に合う海鮮など、食べ物は本当に美味しい。僕のお気に入りの新潟市の名物はへぎ蕎麦と、若鶏半身揚げカレー味。
あー、また食べたいなぁ…
来年6月定年予定なので、5月の新潟開催にまた来たりして…?