定年退職まで残り約100日となった。
このコラムをいつまで書かせていただけるか分からないが、定年したらしばらくお休みするので、それからゆっくり昔からの馬や人の話をしようと思っている。
と、いう事で、残り少ない貴重な現役の間は、できるだけ最近の出来事のお話しをさせてもらう。
冬時間(今冬は11月〜3月)の栗東トレーニングセンターの馬場開場時間は7時。中京阪神開催日は4時、京都開催日は5時となる。
厩舎によって多少違うが、1番乗りの馬の担当者は、馬場に入る時間の約2時間くらい前に出勤するので、冬時間の平日はだいたい5時出勤となる。
前にも書いたが、ほぼ1年中同じ調教時間の地方競馬は、0〜3時出勤などはザラで、それに比べたら僕らは大した事はない。
でもどんな職種でも、真冬の早朝の外仕事は辛く嫌なものだ。
滋賀県北部などでは積雪量が多い所もあるが、栗東トレセンでは近年雪掻きをするような積雪はほぼなくなった。昔は馬の歩く道を作るために、ひと冬で数回の雪掻きをしていた記憶がある。


積雪は少なくなったとはいえ、めちゃめちゃ寒い日はある。
先日、トレセン内の気温が−5℃ほどになり、厩舎の中までマイナス気温だった日があった。しかも風が強く、外の体感気温は−10℃くらいあったのではないか…?


外の水道も凍っていて水が出ず、厩舎の中にかけていた濡れタオルも凍っていた。

こんな日に外に出るのが嫌なのは馬も人も一緒だ。
担当馬のダイシンラーを装鞍する時間になったが、一向に起きる素振りがない。可哀想だが時間もないし、仕方なく無理やり叩き起こした。



僕も寒さで指先が痛すぎて、両手に使い捨てカイロを握ったまま、馬を引っ張った。
身も心も冷え冷え……こんな日は本当に仕事するのが嫌になる。でも調教に乗っている人はもっと寒いので、厩務員の僕らはまだマシなほうだ。

定年してから、嘱託バイトで厩舎ヘルパー(労災や病欠で長期休んでいる人の助っ人)の依頼を受けても、冬場はもう仕事したくないなぁ…