事実上の最終仕事日が6/1(日)に決定して、定年へのカウントダウンが始まった。
そんな中、5月上旬に担当馬を2頭とも入れ替える事になり、これが最後の検疫業務という事になった。
属託ヘルパーという、労災や病気で休んでいる人の代わりに厩舎に派遣される仕事を、元気なら定年退職後、しばらく休んでからやろうと思っている。その時にまた検疫に行くかもしれないが、自分の担当馬という意味あいではこれがラストだろう。
検疫所が新しくなったのはまだ昨年で、それまではシンザン像近くにあるトレセン乗馬苑の奥にあった。


昔は1年くらいトレセンに在厩している馬はザラにいたので、検疫業務といえば年に5回程度だったのではないかな?
でも今は育成&調教牧場が近くにたくさんあり、新馬以外はトレセンに入厩して2〜3週間で1回目のレースに使うのが当たり前の時代になった。
各厩舎のシステムやその年にもよって違うが、僕でいえばこの数年は年間10〜20回は検疫に行っていると思う。
この旧検疫所の時代は、馬達は基本馬運車でトレセン内の厩舎に運ばれていた。でも僕の梅田厩舎は入場門(倉見門)から近いので、天気の良い日は馬を引っ張って道路を歩いて門からトレセン内に入っていた。
坂道で傾斜がかなりあり、うるさい馬はかなり大変だった事を思い出す。
坂を上がった所から厩舎構内までは、一般の車も通る公道を馬を引っ張って歩いた。
ちょうど毎日15時過ぎだったので、小学校の下校時間と重なり、交差点で子供達が馬が通るのをじっと見守っていた。



そして時代は移り昨年、新検疫所がオープンした。
場所はトレセン西地区のチロリン厩舎(栗東トレセン探訪② 参照)の奥にあった西住宅の数棟を解体して、その跡地に作られた。



僕たちの検疫業務は、まず朝10時から始まる馬体検査や血液採取、予防接種など。
それらをクリアした馬が15時に開放され、各厩舎へ順次入厩する。
滅多にいないが、かなり高い熱発をしている馬や、血液に異常をきたしている馬などは、検疫所から厩舎に入れない。馬の診療所に入院か、牧場に返還されたりもする。


15時になったら、馬たちは各厩舎へと向かう。新検疫になってからのルールで、トレセン凱門(正門)の道から西地区の厩舎の馬は、検疫所から歩いてトレセン内に入る事になった。

そして東地区の馬は、馬運車で運ばれる。
僕の梅田厩舎は東地区なので、毎回馬運車での移動となった。


GWが終わった5月2週目、僕は厩務員では最後の検疫業務として、ダイシンラーとコパノアントニオ(トニ男の青春 参照)を厩舎へ迎え入れた。


定年まで残り僅か……厩務員人生最後のレースはこの2頭で戦う事になりそうだ。