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 前回までの小倉競馬場紹介の番外編として、久しぶりに酒馬放浪記をお送りする。
 これは、僕らJRAの厩舎関係者が出張で行く競馬場の近くの飲食街や、ファンがターゲットの競馬に特化したお店などを紹介するというもの。

 馬とは直接関係はないが、ゆるいシリーズ物として、僕ら競馬人やファンのプライベートを少しだけお伝えしたいと思う。

 僕のこのコラムで何回も話したが、近年は厩舎関係者の若者があまり出張先の街に出なくなった。「仕事だけに集中している」のだから素晴らしいが、あまりにもつまらない。
 酒の飲み過ぎで次の日の朝起きてこられないような人は別として、せっかくこんな色々な地方にお金をもらって行ける仕事に就いたのだから(輸送費や出張費が出る)、酒はともかく街ブラくらいはして見識を高めるべきだと僕は思っている。

 余談が長くなったが、僕は出張先では必ずと言っていいほど外出する。
 宿舎にこもっていたのは、外出禁止令が出ていたコロナ禍の最盛期だけだ。

 自厩舎の仲の良い人や他厩舎の友人がいれば一緒に出かける日もあるが、自由に時間を決められるぼっち飲食や、行ったことのない周辺の街ブラも好きなので個人行動も多い。
 次の日のレースと朝の仕事の内容や、夜の飼葉の時間を考えて夕方からの遊びのプランを組み立てる。

 昔は行き当たりばったりだったが、最近は行きの馬運車の中でGoogle検索などをしてお店や観光地などを調べたり、友人とのLINEで皆と連絡を取り合って飲み会を決めたりしているので、競馬場到着した時点ではその日の予定がすでに確立している。

夕方、綺麗にハロー掛けしてならされた小倉競馬場の厩舎構内の運動場。ここを歩いて出かける。
厩舎構内からこの地下道に入ってスタンド方面に向かう。

 小倉競馬場2025・冬編の第1回目で書いたように、この時の小倉出張は2泊3日。競馬場に着いた時間が遅めだったし、次の日は2頭レースで忙しいので、初日は小倉の街に軽く出かける事にした。

小倉競馬場の正面通用門。見えているのがモノレールの競馬場前駅。博多行きのバス停もこの門を出てすぐだ。

 小倉の中心街へはモノレール競馬場前駅から乗って出かける。夜遅くまで飲んだ時はタクシーで帰ったりしていたが、帰るのが早くなった昨今は帰りもモノレールだ。

モノレールの小倉駅。お土産などを買いに行くのに、この駅構内へ行く事もある。
小倉の繁華街。昔に比べたら寂しくなったが、それでも週末は賑やかになる。

 この日は小倉の繁華街で海鮮と炭火焼きが有名な、「炉端のくろ兵衛」さんに入り、海鮮料理や焼き物などと、自分の名前と同じ年齢(数え年で)の銘柄ということで福岡の糸島のお酒「田中六五」をいただいた。この時期だけ出る生酒はめちゃめちゃ美味い。

小倉駅近くの繁華街にある、海鮮と炉端の有名店「炉端のくろ兵衛」。
やはり九州北部と言えば関サバを筆頭とするサバ。博多のゴマサバも有名だが、玄界灘の生サバも絶品。
福岡糸島の銘酒「田中六五」。まだこの時の満年齢は田中六四だったが…

 次の日が朝早くから忙しいので、締めに資さんうどんを食べて早々に競馬場へと戻った。

今や日本全国を席巻しはじめている、北九州市が発祥のチェーン店「資さんうどん」。24時間営業なので昔からよく飲んだ帰りの締めとして食った。
やはり資さんうどんと言えば、ごぼ天うどん。
小倉の商店街から見える小倉城(日本百名城)を見ながら帰途についた。幕末に高杉晋作率いる長州藩と幕府軍が戦った名城。

 2日目は3頭運動と2頭レースで休みなしだったが、7Rで仕事が終わったので早い時間からいざ博多へ!
 競馬場の正門前というバス停から出ている高速バス「なかたに号」に乗れば1300円ほどで博多の中洲や天神まで行ける。
 帰りは始発の天神バスセンターから乗り、競馬場正門前で降りられるのでとても便利だ。でも最終バスで寝過ごしたら小倉駅まで行ってしまい、モノレールも終わっているので気をつけないといけない。

 モノレール〜新幹線〜地下鉄と乗り換えて博多の中心街へ行く人もいるが、時間は大して変わらないし運賃もバスのほうがかなり安い(半分以下)。

小倉競馬場正門前バス停から出ている、博多行き高速バス「なかたに号」。
行きは中洲や天神で降りる時もあるが、帰りは始発で座れるので天神バスセンターから乗る。

 僕はこの42年間の間に、小倉から博多へ幾度となく遊びに行って、ドーム球場での野球観戦やら音楽LIVEやら中洲での飲み食いやら、数々の遊びをこなしてきた。
 そして迎えた厩務員生活最後の博多行き。もうこのバスに乗るのも最後と思うと、何故か無性に感慨深いものがあった。

 最後の小倉出張というのもあって、嫁さんも久しぶりに小倉に降臨し、博多で合流して一緒にご飯へ行った。

 今回は僕が博多で一番好きな「とりかわ(ぐるぐる巻き)」と「水炊き」のハシゴ。
 皆が思い描く焼鳥屋さんの鶏皮とは似て非なるもので、博多では別名「ぐるぐる巻き」とも言い、串に鶏皮を巻き付けて約3日間炭火でタレをつけながら何度もじっくり焼き、油をしっかり落として提供される。外はカリカリ中はモチモチの絶妙な最高の食感。僕の中でのビールのアテランキングでは、餃子を抑えて堂々の1位だ。

僕が博多に来たらよく来る焼鳥屋「天神みつます」。焼鳥も希少部位など豊富で全て美味しいが、2本単位なので2人以上で来るのが好ましい。週末は予約必須のお店だ。
これが、博多名物のとりかわぐるぐる巻き。僕らが食べてきた鶏皮とは全く違う食べ物。油を落としきっているのでカロリーゼロ!?

 とりかわの名店は数店舗あるが、今回は僕の天神の行きつけのお店「天神みつます」さんで絶品のとりかわぐるぐる巻きや、希少部位の焼鳥を少しいただいた。そして2軒目はこれも天神にある博多水炊きの人気店「さもんじ」さんへ。

博多水炊きの人気店「さもんじ」。あっさり目の出汁が美味い。
ほとんど店員が作ってくれるスタイルで、雑炊までのコース。鶏肉はもう鍋の出汁の中にある。

 僕の厩務員としての最後の博多は、鶏三昧で締めくくった。

 次回は、酒場放浪記の小倉競馬場編の続きとして「小倉競馬場あるある今昔」をお送りする。

つづく

田中一征 (Kazuyuki Tanaka)

1960年大阪府泉大津市生まれ
JRA栗東トレーニングセンターで、1983〜2007伊藤雄二厩舎、2007〜2025梅田智之厩舎に厩務員として在籍し、2025年7月に定年退職。

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