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2024年11月21日 (木)

   マチカネフクキタル(父クリスタルグリッターズ:母アテナトウショウ)22戦6勝の戦績を誇り、1997年の第58回の菊花賞馬である。

 菊花賞がまだ11月の1週目に開催されていた当時、9月の阪神競馬場での神戸新聞杯、10月の京都競馬場での京都新聞杯と2つのトライアル競走が行われていた。

その二つを制し、4連勝で菊花賞馬に輝いたのが栗毛のマチカネフクキタルだ。

 1997年9月14日に行われた神戸新聞杯では1番人気に支持されたサイレンススズカが軽快な逃げを打ち、10馬身以上のセーフティーリードを保って直線に向き、その脚色から逃げ切り濃厚と思われたところ、道中最後方に位置した2番人気のマチカネフクキタルが直線に向くと豪脚を披露して、みるみるうちに差を詰めていき、最後は1馬身1/4差をつけての差し切り勝ちを演じて重賞初制覇となった。

97年神戸新聞杯©Shuhei-Okada.com
97年神戸新聞杯©Shuhei-Okada.com
97年神戸新聞杯©Shuhei-Okada.com

 前走の神戸新聞杯での好走が評価されて1番人気での出走となった、10月12日に行われた京都新聞杯。

 ここでは直線では内に進路を取って伸びて、ダービーで1番人気に支持されたメジロブライト、重賞レースで好走しているパルスビートらのライバルとの争いを制して、重賞連勝で本番の菊花賞に向けて視界良好となった。

97京都新聞杯©Shuhei-Okada.com
97京都新聞杯©Shuhei-Okada.com

 迎えた11月2日の第58回菊花賞では血統の背景から長距離に不安があると思われており、1番人気はダービー2着のシルクジャスティス、2番人気にメジロブライトが支持されていたが、前者は神戸新聞杯で、後者は京都新聞杯で下しており、重賞連勝の勢いもあって3番人気に支持されての出走であった。

 秋晴れの好天の中で行われたレースはスローペースで進み、中団に位置して折り合いをつけると、勝負所の4コーナーを過ぎて先に抜け出したメジロブライトの内を突いてグングンと伸びると、そのまま先頭でゴールし2着のダイワオーシュウに1馬身差をつけて、4連勝で嬉しいG1勝ちとなった。

97年菊花賞©Shuhei-Okada.com
97年菊花賞©Shuhei-Okada.com
97年菊花賞©Shuhei-Okada.com
97年菊花賞©Shuhei-Okada.com
97年菊花賞©Shuhei-Okada.com

 第58代の菊花賞馬に輝いたマチカネフクキタル、ウイニングランではこの時期独特の京都競馬場の西日に栗毛の馬体が照らされた。

 血統的な長距離不安を克服してG1ホースの仲間入りを果たしたが、菊花賞が11戦目と近年の競馬に比べて出走回数が多く、トライアル競走を二つ走ってのG1レースとあって、菊花賞後に休養に入るも裂蹄などの病気の影響もあって、その後11戦するも未勝利に終わり怪我の影響もあり引退、現役最後の勝利がこの菊花賞となった。

引退後は種牡馬となるも目立った産駒は残すことが出来ず、種牡馬引退後はマチカネタンホイザと共に小須田牧場で余生を過ごしたが、2020年7月31日26歳で放牧場の草地で眠るように亡くなった。

 神戸新聞杯から京都新聞杯、そして菊花賞と駆け抜けたマチカネフクキタル!

 最近ではダービーからの休み明けのぶっつけ本番で、菊花賞に出走する馬がいる中で、過酷なレース間隔に驚異的な疲労回復、スピードとスタミナを持ち合わせてコツコツとステップアップして大輪の花を咲かせた。

 菊花賞がまだ11月に行われていた時代の懐かしい、輝かしい思い出である。

岡田修平

1969年 大阪府池田市生まれ
工芸高校写真工芸科、在学中に川本武司氏に師事。
1987年の卒業と同時に「JRA関西広報カメラマン」として撮影を始める。
また師匠の勧めで大阪芸術大学写真学科に進学、卒業後フリーカメラマンとして活動。
競馬をメインフィールドに雑誌、ポスター、カレンダー、DVD等に作品を発表。
フランス凱旋門賞をはじめ、海外大レースの撮影に積極的に参加。
最近は、各インターネット媒体コンテンツへの写真提供もこなし、更なる飛躍を目指している。

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