ディープインパクトが史上2頭目の無敗で3冠を制した2005年。
菊花賞の余韻を楽しみながら、この年の京都競馬場で行われた最後のGⅠレースのマイルチャンピオンシップ!
このレース三連覇を狙うデュランダルを筆頭に、マイル戦を得意とする馬が集まって好勝負が期待されたレースとなった。
休み明けのスプリンターズステークスで2着からレースに挑むデュランダル。
桜花賞、NHKマイルカップのマイルGⅠ二勝のラインクラフト。
マイル重賞二勝の実績を誇るハットトリック。
前年の皐月賞馬ダイワメジャー。
前年の桜花賞馬で、前走の天皇賞(秋)で3着と好走したダンスインザムード。
この五頭が上位人気を形成し、デュランダルが突出した人気と実績を誇るも、レースは難しいゴール前になると予想。内馬場から撮影をする事に決めた。
それは、デュランダルが勝ったGⅠレースを複数回失敗しており、彼の強烈な末脚に何度も苦汁を舐めさせられたからだ。(単純に勝ち馬の末脚を信じて狙わなかったワタシのミスなのだが…)
自分の中で弱気になった部分と、混戦を予想して確実に勝ち馬を撮影する為に、内馬場に決めたのであった。
レースは読み通り、ダイワメジャーが内から抜け出して、そのまま押し切るように見えたゴール寸前で、大外から鋭く伸びたハットトリックの大逆転劇で、ハナ差の大接戦となった。
いつも通りに外ラチ沿いからの撮影だと失敗していたかもしれない際どい争いだったが、内馬場からの撮影で問題無く勝ち馬(さらに2着馬も)を撮れた。
ここまでは良かったのたが…
2005年というのはフィルムカメラ、デジタルカメラの両方使いの時代。
雑誌やカレンダーなど紙媒体での仕事が多く、デジタルカメラ創世記の当時のデジタルデータよりも、フィルムからの入稿の方が画質、色味、解像度などがまだまだ上であった。
無敗の3冠を達成したディープインパクトの菊花賞もレース以外はデジタル、レースはフィルム、というように用途によって使い分けていた。
マイルチャンピオンシップはデュランダルの三連覇がかかっていたとはいえ、時期的にカレンダーには使われないこともあり、GⅠレースとして初めてレースもデジタルカメラで撮影をした。
帰宅してから不慣れなデジタルデータ整理をしている時に、それは起こった。
ワタシ好みのカッコいいゴール写真のセレクト中、似たような脚の形をしたカットを見比べていると、片方は目をつぶっていて、もう片方はバッチリと見開いていた。
目のつぶっている写真は使われる事は無い、ので削除ボタンを押した!
何をどう間違えたのか、目を開いてる方の写真を削除してしまった。
画面には目のつぶっている写真しか残っていない。
記録したカードから直接作業していたので、どこからも消えていた… 嫌な汗が背中を流れた。
どうあがいても、どう探しても消したデータは見つからない。
インターネットで情報を集めた結果、画像復元ソフトを買う事にした。
インストールした画像復元ソフトで無事に復元する事ができて、取引先に納品する事が可能となった。
この経験以後、一度コピーを取ってから作業をするようになった事は言うまでもない。