それまで、ジャパンカップ(芝2400m)前日、東京競馬場で土曜日に施行されていたジャパンカップダート(ダート2100m)。
ダート競馬が主流でアメリカ競馬の祭典、ブリーダーズカップ競走から日程が短く、海外からの出走が少ないという理由から、施行時期を遅くして阪神競馬場(ダート1800m)で行われることとなった2008年。
『ダート』が付くとはいえ、国際招待競走のジャパンカップが関西の競馬場で行われるのは当時としては画期的な事であり、関係者は大いに盛り上がりを期待した。
当時、阪神競馬場に所属する阪神馬主協会の会報誌「さくら」を担当していたワタシにとっても、華やかなレースになる事を期待せずにはいられなかった。
会報誌が年末に刊行されるとあって、この年のさくらの表紙は、阪神競馬場で行われるジャパンカップダートの写真を全面的に押し出しましょう!と編集者から連絡があった。
とはいえ撮影時には芝コースを渡り、内側のダートコースで行われるレース。
ダートコースの外ラチからの撮影では、ジャパンカップという華やかさが伝わらないと考え、障害コースに設置された内側のイントレ(お立ち台)からスタンドバックの写真を狙うことに決めた。
外国馬3頭が来日し、レースに彩りを添えた第9回ジャパンカップダート。しかし、3頭のうちの1頭が出走取り消しとなり、15頭でレースが行われた。
前年のJBCクラシック以降、国内のダート競走で無敵のヴァーミリアンが人気を集める中、好位追走から抜け出したのは、怪我のために約2年の長期休養明けから復帰2戦目となるルメール騎手騎乗のカネヒキリ。
外からヴァーミリアンも差を詰めてくるが、さらに外のメイショウトウコンの脚色が良く、3頭が並ぶようにゴール板を通過した。
際どい争いとなったが、最内のカネヒキリがアタマ差抜け出しており、3年ぶりのジャパンカップダート制覇となった。
2着にメイショウトウコン、そこからクビ差の3着にヴァーミリアンが入り、いつもの撮影位置である外ラチ沿いからの撮影であれば、迷っていた写真撮影になっていたと思う。
会報誌「さくら」の表紙というイメージを最優先に考えたので、内側のイントレからの撮影を決意した。結果として、勝ち馬はもちろん2着馬も3着馬も写っている、という写真を撮る事が出来た。
マイルチャンピオンシップ時のハットトリック、ジャパンカップのホーリックス、と当コラムに記した、普段とは撮影場所を変えた撮影が面白いようにはまっていて、この年のジャパンカップダートも内側からの撮影で大正解であった。
一つ誤算があったとすれば、スタートのゲートに「ジャパンカップダート」という国旗などをあしらった華やかな看板があるかと思っていたが、飾りが何も無く、普通のレースと変わらないスタート撮影となってしまったことだ。
その後、2013年まで阪神競馬場で行われたジャパンカップダート。2014年からはチャンピオンズカップと名称を変え、中京競馬場で行われることになった。
関西で初めて行われた「ジャパンカップダート」は今でも鮮明に覚えている。