UMATO

2025年01月30日 (木)

 競馬のゴール写真をアートに変えたレジェンドカメラマン、久保吉輝さん。彼の声掛けで、2014年(平成26年)に有志8人の競馬カメラマンが集まり、グループ写真展「The Thoroughbred 2014」 を開催した。

 その後、毎年開催していくと、3年目からは公益財団法人・馬事文化財団からの協賛を経てグループ展の規模が大きくなっていった。

 2020年から2022年の3年間はコロナ禍であったために、人が集まるイベントは自粛という形で開催中止となったが、2023年より復活。グループ写真展活動が再開された。

 開催毎にカメラマンが入れ替わるので、ワタシは2018年で一度メンバーから外れた。

 昨年の2024年、10月富士フォトサロン大阪、11月府中市民ギャラリーで行われた「絢サラブレッド」展に6年ぶりにメンバーに復帰した。

 今回の絢サラブレッドには7人が揃い、カメラマンそれぞれでサイズや展示枚数は異なる中で、ワタシは全紙サイズ8枚を出品した。

 大阪、東京展共に多くの方に足を運んでいただき、タイミングが合った方には現場で写真解説をする機会に恵まれた。

 タイミングが合わずに話せなかった方、会場に来られなかった方へ、このコラムを通じて解説出来ればと思う。

 今回は「Scenes」のタイトルで世界各地で撮影した、ワタシが見る競馬シーンとして発表。

Scenes-1 フレミントン競馬場

©Shuhei-Okada.com

メルボルンカップが開催される、オーストラリアのフレミントン競馬場。

 この競馬場には4回訪れているが、全てメルボルンカップの時期なので、11月初旬に訪れている。

 メルボルンは南半球にあるので11月は春真っ盛りで、このフレミントン競馬場でもスプリングカーニバルとして、メルボルンカップ以外にもダービーなどの大きなレースが行われる。

 そのカーニバルを盛り上げるかのように競馬場内には薔薇がこれでもか!というくらい咲いている。

 特に印象深いのがパドックから馬場へと通じる花道。

 そこを通って馬場入りし、レースが始まる。レースが終わると花道を通ってパドックへ引き上げて、パドックで脱鞍した馬が厩舎へと帰っていく。

 向かって右側のピンクの薔薇が咲き乱れているのが、観客席側である。

 左側の黄色の薔薇側が馬場で、この1枚はレースを終えてパドックへ戻るシーン。

 日本では絶対に撮れない薔薇と馬の写真を、超望遠レンズで構図にこだわって撮った1枚となっている。

Scenes-2 中京競馬場

©Shuhei-Okada.com

中京競馬場のパドックで撮った1枚。

 とても日差しの強い日で、鬣(たてがみ)が光ったりするかな?とパドックへ向かうと、スポットライトが当たったようにして部分的に日が差していた。

 中京競馬場のスタンドのガラスに反射した光だと思うが、日陰の部分にピンポイントで光っていたので、鬣の撮影を置き去りにして馬の脚と影を狙った。

 パドックなので内側を歩く馬、外側を歩く馬、こちらがイメージする場所をなかなか歩いてくれなかったが、こちらが狙った構図の日陰と日向の境目を歩いてきた馬がいた。

 「今だ!」と夢中でシャッターを押し、モニター画面で確認すると、想像以上の写真が撮れた。

 サラブレッドの脚と影、と思いながら撮った写真だが、尻尾の影が写りこんでおり、とてもスパイスの効いた写真となった。

 写真自体には尻尾は写っておらず、影の部分に尻尾という面白く、見る人の想像を膨らますような作品になったのだ。

https://gatej.jp/osaka/info-detail_20241129.html

第9回競馬写真家グループ写真展『絢 サラブレッド2024』の展示作品の一部をGateJ大阪にて展示中 

【展示期間】
11月30日(土)~2025年1月20日(月)の開館日
<競馬開催日及び平日払戻日> 

2へ続く。

岡田修平

1969年 大阪府池田市生まれ
工芸高校写真工芸科、在学中に川本武司氏に師事。
1987年の卒業と同時に「JRA関西広報カメラマン」として撮影を始める。
また師匠の勧めで大阪芸術大学写真学科に進学、卒業後フリーカメラマンとして活動。
競馬をメインフィールドに雑誌、ポスター、カレンダー、DVD等に作品を発表。
フランス凱旋門賞をはじめ、海外大レースの撮影に積極的に参加。
最近は、各インターネット媒体コンテンツへの写真提供もこなし、更なる飛躍を目指している。

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