競馬のゴール写真をアートに変えたレジェンドカメラマン、久保吉輝さん。彼の声掛けで、2014年(平成26年)に有志8人の競馬カメラマンが集まり、グループ写真展「The Thoroughbred 2014」 を開催した。
その後、毎年開催していくと、3年目からは公益財団法人・馬事文化財団からの協賛を経てグループ展の規模が大きくなっていった。
2020年から2022年の3年間はコロナ禍であったために、人が集まるイベントは自粛という形で開催中止となったが、2023年より復活。グループ写真展活動が再開された。
開催毎にカメラマンが入れ替わるので、ワタシは2018年で一度メンバーから外れた。
昨年の2024年、10月富士フォトサロン大阪、11月府中市民ギャラリーで行われた「絢サラブレッド」展に6年ぶりにメンバーに復帰した。
今回の絢サラブレッドには7人が揃い、カメラマンそれぞれでサイズや展示枚数は異なる中で、ワタシは全紙サイズ8枚を出品した。
大阪、東京展共に多くの方に足を運んでいただき、タイミングが合った方には現場で写真解説をする機会に恵まれた。
タイミングが合わずに話せなかった方、会場に来られなかった方へ、このコラムを通じて解説出来ればと思う。
今回は「Scenes」のタイトルで世界各地で撮影した、ワタシが見る競馬シーンとして発表。
Scenes-1 フレミントン競馬場
メルボルンカップが開催される、オーストラリアのフレミントン競馬場。
この競馬場には4回訪れているが、全てメルボルンカップの時期なので、11月初旬に訪れている。
メルボルンは南半球にあるので11月は春真っ盛りで、このフレミントン競馬場でもスプリングカーニバルとして、メルボルンカップ以外にもダービーなどの大きなレースが行われる。
そのカーニバルを盛り上げるかのように競馬場内には薔薇がこれでもか!というくらい咲いている。
特に印象深いのがパドックから馬場へと通じる花道。
そこを通って馬場入りし、レースが始まる。レースが終わると花道を通ってパドックへ引き上げて、パドックで脱鞍した馬が厩舎へと帰っていく。
向かって右側のピンクの薔薇が咲き乱れているのが、観客席側である。
左側の黄色の薔薇側が馬場で、この1枚はレースを終えてパドックへ戻るシーン。
日本では絶対に撮れない薔薇と馬の写真を、超望遠レンズで構図にこだわって撮った1枚となっている。
Scenes-2 中京競馬場
中京競馬場のパドックで撮った1枚。
とても日差しの強い日で、鬣(たてがみ)が光ったりするかな?とパドックへ向かうと、スポットライトが当たったようにして部分的に日が差していた。
中京競馬場のスタンドのガラスに反射した光だと思うが、日陰の部分にピンポイントで光っていたので、鬣の撮影を置き去りにして馬の脚と影を狙った。
パドックなので内側を歩く馬、外側を歩く馬、こちらがイメージする場所をなかなか歩いてくれなかったが、こちらが狙った構図の日陰と日向の境目を歩いてきた馬がいた。
「今だ!」と夢中でシャッターを押し、モニター画面で確認すると、想像以上の写真が撮れた。
サラブレッドの脚と影、と思いながら撮った写真だが、尻尾の影が写りこんでおり、とてもスパイスの効いた写真となった。
写真自体には尻尾は写っておらず、影の部分に尻尾という面白く、見る人の想像を膨らますような作品になったのだ。
https://gatej.jp/osaka/info-detail_20241129.html
第9回競馬写真家グループ写真展『絢 サラブレッド2024』の展示作品の一部をGateJ大阪にて展示中
【展示期間】
11月30日(土)~2025年1月20日(月)の開館日
<競馬開催日及び平日払戻日>
2へ続く。