今年は日程の都合上、5月に行われる古馬の頂上決戦「天皇賞春(芝3200m G1)」。
昭和生まれのワタシが競馬に興味を持ち始めた時から、天皇賞春といえば昭和天皇の誕生日である4月29日に開催されてきたレースである。
1989年に昭和天皇が崩御されて、平成へと元号が変わっても1990年(平成2年)までは従来通りの4月29日(天皇誕生日)に開催されていた天皇賞春。 (注:1989年より2006年まで4月29日は「みどりの日」の祝日となっており、2007年より「昭和の日」として現在に至る)
今回のアノ瞬間は従来の4月29日(当時、みどりの日)に開催されるのが、最後となった平成2年の天皇賞春を振り返りたい。
今やJRA通算4500勝を越えるレジェンド 武豊騎手が初めてG1レースを制した、1988年菊花賞。
菊花賞馬のスーパークリークとのコンビで、翌年の天皇賞秋ではオグリキャップとの死闘を制して、二つ目のG1タイトルを手に入れた。

6歳を迎えた1990年は始動戦となる大阪杯を快勝し、堂々の1番人気で天皇賞春へと出走してきた。
ライバルとなる2番人気のイナリワンは、武豊騎手が前年コンビを組んで天皇賞春と宝塚記念を制した相棒ながら、暮れの有馬記念では柴田政人騎乗のコンビにハナ差負けで、雪辱を果たす舞台であった。
13万人を越えるファンが詰めかけた京都競馬場、初夏の様相の好天の中でレースはスタートした。
ショウリテンユウ、ミスターシクレノン、カシマウイングと飛び出したレース。
1周目のスタート直後は後方のポジションもペースが遅いとみると、早めのポジションを取りに行く武豊騎手&スーパークリーク。
柴田政人騎手&イナリワンは後方待機策。
逃げたショウリテンユウが4コーナー手前でいっぱいになると、2番手追走のミスターシクレノンが先頭で直線に向かう。
すぐ外にカシマウイング、その外には早くもスーパークリーク。
そして後方に居たはずのイナリワンも、スーパークリークのすぐ隣までポジションを上げてきておりスパートの態勢。
芝の良い馬場の外目を通って残り、200mでスーパークリークが先頭に立ちそのまま押し切る勢い!
しかし、残り100mで外からイナリワンが猛烈に伸びてグングンと差を詰めにかかった。
しかし半馬身差まで追い詰めたところがゴールだった!


スーパークリークがG1三勝目を挙げて、ライバルのイナリワンに有馬記念の雪辱を果たしたシーンであった。
ウイニングランで、武豊騎手のガッツポーズが飛び出した!


1馬身3/4差の3着に12番人気のカシマウイングが入った。当時は単勝・複勝・枠連しか馬券発売が無かったが、もし3連複や3連単が発売されていれば、1・2番人気で決着も大荒れだったと思われる。
スーパークリークは天皇賞春の後休養に入り休み明けの次走の京都大賞典も快勝。
秋のG1レースへ向けて好発進と思われたものの、馬体に故障を発生して引退。
同時期に故障を発生しそのまま引退となったイナリワンとのライバル対決は、この天皇賞春が最後の戦いとなった。
今年も熱いドラマに期待しつつ、良い写真を撮って残していきたいと思う。