裸足のシンデレラ・イソノルーブル
父:ラシアンルーブル 母:キティテスコの4番仔として生まれたものの、2歳の春まで買い手がつくことはなかった。
6月の特別市場に上場されるとJRAに500万円という価格で購入され、抽選馬としてデビューしたイソノルーブル。
3歳(当時の表記)の9月に中京競馬場でデビューすると、レコードタイムで駆け抜けて新馬勝ちを収める。
続く11月の中京でも3馬身半差をつけて快勝、暮れのラジオたんぱ杯3歳ステークスに出走。
8番人気ながら、好スタートから逃げきり3連勝で重賞初制覇となった。
年が明けてもエルフィンステークス、報知杯4歳牝馬特別、と連勝し無敗の5連勝で桜花賞へと出走してきた。
阪神競馬場が改修工事の為、京都競馬場で開催された桜花賞。
無敗の5連勝の実績から単勝オッズ2.8倍の1番人気で出走のイソノルーブル、しかし馬場入り時の返し馬の時点で落鉄していた。
入場時の大歓声に興奮したイソノルーブルは落ち着きを見せず、装蹄師の蹄鉄装着を拒否し暴れだした。
発走時刻を過ぎても暴れるイソノルーブル、装蹄を諦めて右前脚は裸足の状態で発走することに。
予定より11分遅れでスタートした桜花賞、イソノルーブルは2番手追走でレースを運ぶも本来の伸びを欠いて5着でゴール。

500万という安価な取引から始まったサクセスストーリーと、人間でいう片足の靴を履いていない状態での出走から、裸足のシンデレラと呼ばれた。
勝ったのは、こちらも無敗の4連勝でG1ホースとなった、4番人気のシスタートウショウ。
続く優駿牝馬(オークス)では、桜花賞馬シスタートウショウに1番人気を譲り、適正距離や大外枠の20番枠からの発走とマイナス要素から4番人気で出走。
スタートから持ち味の先行策に徹して外枠から果敢にハナを奪う、松永幹夫騎乗のイソノルーブル。

19頭を引き連れて1コーナーへ進入し、スローペースな流れを作ってレースを進める。
4コーナー先頭から、そのまま府中の直線をゴール板目指して疾走。
残り100mで2番人気のツインヴォイスの追撃を封じて、このまま逃げ切りかと思われた残り50mで桜花賞馬シスタートウショウが外から猛烈な追い込み。
逃げるイソノルーブルと追い込むシスタートウショウ、最後は二頭が並ぶようにゴール。

写真判定に結果は委ねられたが、ハナ差しのいだイソノルーブルが1着でのゴールとなり、桜花賞の悔しさを晴らす舞台になった。


松永幹夫騎手、清水久雄調教師共にこれが嬉しいG1初勝利となった。
裸足のシンデレラは靴を取り戻してシンデレラ娘へと駆けのぼったシーンであった。
秋に三冠最終戦のエリザベス女王杯に出走、2番手でレースを進めるも直線で失速し16着でゴール。
レース後に故障(靭帯炎)が判明し、復帰の願いも届かず引退となった。
通算成績8戦6勝(うち重賞3勝)のシンデレラストーリーをそのままに演じた、イソノルーブル。
この時期になると「裸足のシンデレラ」が思い出される。