「あなたの夢は何ですか? 私の夢は○○です」
元関西テレビの競馬アナウンサー・杉本清さんの宝塚記念の実況時に使われた有名なフレーズだ。
ファン投票による春のグランプリレース、宝塚記念。
梅雨の時期と暑さ対策により今年は例年よりも2週間早まる施行となり、安田記念の翌週に行われることとなった。
これにより、天皇賞春から7週連続でG1レースが続くことになったのだ。
今回のアノ瞬間は豪華メンバーが揃った第44回(2003年)の宝塚記念を振り返りたい。
人気順に出走メンバーを紹介する。
シンボリクリスエス(天皇賞秋・有馬記念を制し、2002年の年度代表馬)
ネオユニヴァース(この年の二冠馬であり、3歳で挑戦)
アグネスデジタル(安田記念を勝利してここへ出走)
タップダンスシチー(前年の有馬記念でシンボリクリスエスの2着に入る)
ダイタクバートラム(武豊騎乗で阪神大賞典を勝利)
そして勝ち馬であるヒシミラクル(前年の菊花賞馬で、前走の天皇賞春も勝利)
前年の覇者ダンツフレーム、前年2着のツルマルボーイと続いた。
快晴の阪神競馬場、暑いくらいの好天の中で宝塚記念のスタートが切られた。
17頭立てで行われたレースはマイソールサウンドが引っ張る形で、タップダンスシチーは6番手を追走。
シンボリクリスエスはどっしりと中団に構えた。
それを見るようにヒシミラクル、ネオユニヴァースとツルマルボーイは後方待機策。
4コーナーでは早め先頭のタップダンスシチーに、内を突いたシンボリクリスエス。
この二頭の争いと思われた残り200mで、ロングスパートのヒシミラクルがじわりじわりと伸びて来る。
連れて内にダンツフレーム、ネオユニヴァースも差し脚を披露。
さらに外からツルマルボーイが鋭い伸び脚を見せる!
大混戦のゴール前は、先に抜け出したヒシミラクルに外のツルマルボーイがクビ差まで迫った所がゴールだった。


3着にタップダンスシチー、4着ネオユニヴァース、1番人気に支持されたシンボリクリスエスは5着でのゴール。
豪華メンバーによる宝塚記念は、ヒシミラクルがG1三度目の勝利で結末を迎えた。


最終的に6番人気での出走となったヒシミラクル。
しかし前日発売では1番人気に支持されていたのだ!
ウインズ新橋に安田記念の的中単勝馬券を払い戻しして得た1222万円を、全額ヒシミラクルの単勝へ投じた人がいたからであった。
その噂は一気に広がり「ヒシミラクルおじさん」の異名が付いた。
ヒシミラクルの優勝により「ヒシミラクルおじさん」は1億9918万6000円の払い戻しを受け取ることになり、宝塚記念の1着賞金1億3200万円を超えたとして話題となった。
菊花賞、天皇賞春もロングスパートによる息の長い脚を使って勝利したヒシミラクル。

この宝塚記念でも自慢のロングスパートを駆使して、1着を勝ち取った。


結果的にヒシミラクルの最後の勝利となった、この年の宝塚記念。
しかしG1三勝目を挙げたことにより、ヒーロー列伝ポスターが作成された。
「“奇跡は”、ロングスパートから」

このポスターにワタシの写真が採用されている。