今週は阪神競馬場で菊花賞トライアル、神戸新聞杯(芝2400m GⅡ)が開催される。
1999年までは神戸新聞杯、京都新聞杯と二つのトライアルレースが開催されていたが、2000年以降、京都新聞杯が5月に移行され、日本ダービーのステップレースへと変わった。
よって、関西圏で開催される唯一の菊花賞トライアルレースとなった。
今回のアノ瞬間は1994年の神戸新聞杯を取り上げたい。
中京競馬場の芝2200m戦、9頭立てで行われたレース。
日本ダービー4着のフジノマッケンオーが1番人気。
2番人気に日本ダービー17着のメルシーステージ、3番人気に連勝中のスターマンが支持された。
逃げたトウショウライデンが8頭を引っ張り、メルシーステージが2番手追走。
好位追走する外フジノマッケンオー、中スターマン。
戦前は日本ダービー出走組の1・2番人気の2強の争いと見られたレースは、4コーナーで早くも先頭に並びかける2強の二頭。
一騎打ちかと思われたが、外のフジノマッケンオーが優勝争いから脱落。
すかさず内を突いて鋭く伸びたスターマン。
あっという間に先頭に立つと、メルシーステージに2馬身半差をつけて3連勝で重賞初制覇となった。



この年の牡馬クラシックは、シャドーロールの怪物ナリタブライアンが二冠を達成。
皐月賞を3馬身半、日本ダービーを5馬身と突き放して「同世代に敵なし!」をアピールしていた。
3連勝の勢いで阪神競馬場で行われた、京都新聞杯(芝2200m GⅡ)に出走したスターマン。
ここにはクラシック二冠馬のナリタブライアンが出走してきた。
日本ダービー以来となる休養明けのレースとなったナリタブライアン、単勝オッズ1.0倍という圧倒的支持を受けての出走。
2番人気のエアダブリンが11.3倍、3番人気のスターマンが15.5倍という、一頭飛びぬけた人気。
ナリタブライアンは菊花賞で三冠達成へ、負けられない戦いとなった。
10頭立てで行われたレースは、テイエムイナズマが引っ張る形。
好位追走のスターマン、後方3番手を追走するナリタブライアン。
4コーナー手前で、早くも先頭集団に並びかけるナリタブライアン。
残り300mで外から先頭に立つと、大歓声が沸き起こった。
このまま突き放して勝つのかと思われたが、内からじわりじわりと伸びる藤田伸二騎乗のスターマン。


残り30mでグイっと伸びたスターマンがクビ差、差をつけたところがゴールだった。

勝ったスターマンは4連勝で重賞連勝を達成。
しかし、場内はナリタブライアンが負けたことによる悲鳴とため息が轟いた。
1993年11月京都3歳ステークスから、1995年3月の阪神大賞典まで10戦9勝のナリタブライアン。
競走生活で絶好調時だったその時、唯一の敗戦がこのレースだった。
重賞連勝で菊花賞へと駒を進めたスターマン。
小雨の京都競馬場で行われた菊花賞、7馬身差で圧勝し三冠達成のナリタブライアン。
スターマンは5着でのゴール。
神戸新聞杯、京都新聞杯共に内からスルスルと伸びて勝ったスターマン。
初重賞の神戸新聞杯、絶好調時のナリタブライアンを負かした京都新聞杯。
共に思い出深いレースだった。