今週末は中山競馬場で秋のG1レース開幕戦、スプリンターズステークスが開催される。
1984年のグレード制導入により、G3競走として格付けされたスプリンターズステークス。
その後、1987年にG2レースへと昇格。
そして1990年にスプリント戦として初のG1レースへと、格上げされた。
それまで3月に開催されていたスプリンターズステークスだったが、G1レースへの昇格を機に有馬記念の前週の12月の開催へと変更された。(現在は主に9月の最終週に開催されている。)
1990年G1レースへの昇格後、記念すべきレースの主役は武豊騎乗のバンブーメモリー。
1989年の安田記念を10番人気で制すと、秋のマイルチャンピオンシップではオグリキャップとのハナ差の死闘を演じ(結果は2着)て、この年の最優秀スプリンターに選ばれた。
1990年も天皇賞秋でヤエノムテキの3着、マイルチャンピオンシップではパッシングショットの2着、とここでは実力上位。
鞍上の武豊騎手人気も相まって、1番人気に支持されての出走となった。
16頭で開催されたG1スプリンターズステークス。
スタートダッシュを決めたダイワダグラス、外から飛ばすナルシスノワールの二頭が作るハイペースで先行争いが激化する。
1枠1番から出走の武豊騎乗のバンブーメモリーは、まずまずのスタートから中団の後ろでポジション取り。
4コーナーも逃げた二頭が先頭で回ると、最後は直線勝負となった。
早々にダイワダグラスが脱落し、ナルシスノワールが粘りこみを狙う。
追い込み勢は、スパートのタイミングを計る。
内ラチ沿いからラストスパートを図るバンブーメモリー、前が壁になる中で僅かに開いた隙間へと進路を向けた。
中山競馬場名物、最後の坂下辺りの残り200m地点から馬群の間を割って鋭く伸びて来る武豊騎乗のバンブーメモリー。
場内の大歓声が送られて、気持ち良さそうに疾走する。
他馬が止まって見える程のスピード・脚力であっという間に先頭に立つと、外から脚を伸ばすルイテイトに1馬身半差をつけてG1二勝目を挙げた。
前半のハイペースの影響で、ゴール後に掲示されたタイムは当時のレコードタイム「1:07.8」
この表示に場内からは、大きなどよめきと拍手が起こった。






バンブーメモリーを管理するのは武邦彦調教師、そう武豊騎手の父である。
G1レースへと昇格したスプリンターズステークスは、親子タッグによるG1レース優勝という記念すべきレースとなった。

この走りを受けて、2年連続の最優秀スプリンターのタイトルを獲得したバンブーメモリー!
翌年も現役を続行し、1番人気に支持されるレースもあったが成績は低迷、結果的にこの年のスプリンターズステークスが最後の勝利となった。
現在では高松宮記念がスプリント戦のG1レースへと昇格し、3月末の高松宮記念。9月末のスプリンターズステークスと、スプリント戦のG1レースが充実している。
35年前に開催され、G1レースになって初のスプリンターズステークスは今もなお色褪せない輝きを放っている。