牝馬三冠路線の最終戦、秋華賞が今週開催される。
今回のコラムは、1997年の秋華賞を振り返りたい。
この年の桜花賞はキョウエイマーチに逃げ切り勝ちを許すも、優駿牝馬(オークス)で2馬身半差をつけて完勝し、世代最強牝馬となったメジロドーベル。
キョウエイマーチの桜花賞コラムはこちら。
秋に向けての始動戦に選んだのは3歳牝馬限定戦ではなく、牡馬古馬混合のオールカマー(芝2200m G2)。
ここでも1番人気に支持されたメジロドーベルは古馬も牡馬も蹴散らす活躍を見せ、1馬身半差の快勝で秋華賞へと駒を進めた。
快晴の秋晴れの空の下で開催された第3回秋華賞は、18頭で争われた。
1番人気は重賞連勝中の吉田豊騎乗のメジロドーベル。
2番人気にローズステークスを勝って本番に挑む、松永幹夫騎乗の桜花賞馬キョウエイマーチ。
3番人気にローズステークス2着の福永祐一騎乗のメイプルシロップが支持されたが、戦績から上位人気2頭の二強争いとみられた。
17番枠からポンっと飛び出したキョウエイマーチ。
しかしハナを奪ったのは2番枠を活かしたナイトクルーズで、キョウエイマーチは2番手を追走。
メジロドーベルは中団の内ラチ沿いを進める。
残り600mで外から上がってきたメジロドーベル、その動きに場内は大いに沸いた。
残り400mでいっぱいになったナイトクルーズを捉えて先頭に立つキョウエイマーチ。
しかし進出を開始していたメジロドーベルは、直後の3番手まで上がってきていた。
残り100mまで先頭だったキョウエイマーチ。
しかし距離の影響か脚色が鈍る。

すかさず外から鋭く伸びたメジロドーベルがあっという間に交わすと、ゴール板では2馬身半差をつける完勝で二冠達成となった。

2着にキョウエイマーチが入り、戦前予想された通りの二強対決での決着となった。

不良馬場の桜花賞ではキョウエイマーチを捉えることは出来なかったが、オークスと秋華賞でリベンジを果たした。

この結果を受けて、1997年の「最優秀4歳牝馬(当時の表記)」と、父:メジロライアン産駒で「最優秀父内国産」の二つのタイトルを獲得し、名実共に世代最強牝馬となった。

翌1998年のエリザベス女王杯を制し、「最優秀5歳以上牝馬」のタイトルを獲得。
さらに1999年のエリザベス女王杯も連覇し、「最優秀5歳以上牝馬」のタイトルを再び獲得した。
1999年のエリザベス女王杯勝利を引退の花道として、現役生活にピリオドを打った。

(引退レースとなった1999年のエリザベス女王杯優勝時)
3歳時に阪神3歳牝馬ステークスを制して「最優秀3歳牝馬」のタイトルも獲得しており、中央競馬会において史上初となる4年連続タイトル獲得をした初の馬となった。
G1レースも5勝しているが、全て牝馬限定戦。
競走生活の中での牝馬限定戦にはめっぽう強く、4歳時のチューリップ賞3着がワースト記録というほどの強さであった。
秋華賞、エリザベス女王杯連覇と京都競馬場でG1三勝を挙げた!
京都競馬場でのG1三勝馬はメジロマックイーン、ライスシャワーに次いで3頭目。
牝馬としては唯一の記録を誇っている。
メジロドーベルは、記憶にも記録にも残る名馬だった。