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2025年10月16日 (木)

 牝馬三冠路線の最終戦、秋華賞が今週開催される。
 今回のコラムは、1997年の秋華賞を振り返りたい。

 この年の桜花賞はキョウエイマーチに逃げ切り勝ちを許すも、優駿牝馬(オークス)で2馬身半差をつけて完勝し、世代最強牝馬となったメジロドーベル。
 キョウエイマーチの桜花賞コラムはこちら。

 秋に向けての始動戦に選んだのは3歳牝馬限定戦ではなく、牡馬古馬混合のオールカマー(芝2200m G2)。
 ここでも1番人気に支持されたメジロドーベルは古馬も牡馬も蹴散らす活躍を見せ、1馬身半差の快勝で秋華賞へと駒を進めた。

 快晴の秋晴れの空の下で開催された第3回秋華賞は、18頭で争われた。
 1番人気は重賞連勝中の吉田豊騎乗のメジロドーベル。
 2番人気にローズステークスを勝って本番に挑む、松永幹夫騎乗の桜花賞馬キョウエイマーチ。
 3番人気にローズステークス2着の福永祐一騎乗のメイプルシロップが支持されたが、戦績から上位人気2頭の二強争いとみられた。

 17番枠からポンっと飛び出したキョウエイマーチ。
 しかしハナを奪ったのは2番枠を活かしたナイトクルーズで、キョウエイマーチは2番手を追走。
 メジロドーベルは中団の内ラチ沿いを進める。

 残り600mで外から上がってきたメジロドーベル、その動きに場内は大いに沸いた。
 残り400mでいっぱいになったナイトクルーズを捉えて先頭に立つキョウエイマーチ。
 しかし進出を開始していたメジロドーベルは、直後の3番手まで上がってきていた。

 残り100mまで先頭だったキョウエイマーチ。
 しかし距離の影響か脚色が鈍る。

©Shuhei-Okada.com


 すかさず外から鋭く伸びたメジロドーベルがあっという間に交わすと、ゴール板では2馬身半差をつける完勝で二冠達成となった。

©Shuhei-Okada.com

 2着にキョウエイマーチが入り、戦前予想された通りの二強対決での決着となった。

©Shuhei-Okada.com


 不良馬場の桜花賞ではキョウエイマーチを捉えることは出来なかったが、オークスと秋華賞でリベンジを果たした。

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 この結果を受けて、1997年の「最優秀4歳牝馬(当時の表記)」と、父:メジロライアン産駒で「最優秀父内国産」の二つのタイトルを獲得し、名実共に世代最強牝馬となった。

©Shuhei-Okada.com

 翌1998年のエリザベス女王杯を制し、「最優秀5歳以上牝馬」のタイトルを獲得。
 さらに1999年のエリザベス女王杯も連覇し、「最優秀5歳以上牝馬」のタイトルを再び獲得した。
 1999年のエリザベス女王杯勝利を引退の花道として、現役生活にピリオドを打った。

引退レースとなった1999年のエリザベス女王杯優勝時©Shuhei-Okada.com

 (引退レースとなった1999年のエリザベス女王杯優勝時)

 3歳時に阪神3歳牝馬ステークスを制して「最優秀3歳牝馬」のタイトルも獲得しており、中央競馬会において史上初となる4年連続タイトル獲得をした初の馬となった。

 G1レースも5勝しているが、全て牝馬限定戦。
 競走生活の中での牝馬限定戦にはめっぽう強く、4歳時のチューリップ賞3着がワースト記録というほどの強さであった。

 秋華賞、エリザベス女王杯連覇と京都競馬場でG1三勝を挙げた!
 京都競馬場でのG1三勝馬はメジロマックイーン、ライスシャワーに次いで3頭目。
 牝馬としては唯一の記録を誇っている。

 メジロドーベルは、記憶にも記録にも残る名馬だった。

岡田修平 (Shuhei Okada)

1969年 大阪府池田市生まれ
工芸高校写真工芸科、在学中に川本武司氏に師事。
1987年の卒業と同時に「JRA関西広報カメラマン」として撮影を始める。
また師匠の勧めで大阪芸術大学写真学科に進学、卒業後フリーカメラマンとして活動。
競馬をメインフィールドに雑誌、ポスター、カレンダー、DVD等に作品を発表。
フランス凱旋門賞をはじめ、海外大レースの撮影に積極的に参加。
最近は、各インターネット媒体コンテンツへの写真提供もこなし、更なる飛躍を目指している。

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