雪の妖精が京都競馬場で、華麗に舞った!
2010年の第35回エリザベス女王杯は、イギリス調教馬のスノーフェアリーが衝撃的なレースを披露した。
アイルランド産でイギリス・ダンロップ厩舎のスノーフェアリー。
2010年の6月に人気薄ながらオークスステークス(イギリス)を制すと、勢いそのままに7月に開催されたアイリッシュオークス(アイルランド)も制した。
その後、2戦した後に海を渡って日本へとやってきた。
この年の日本ではアパパネが牝馬三冠を達成し、迎え撃つ立場として対決した。
日英のオークス馬対決となった第35回エリザベス女王杯。
明るい曇り空の中でレースがスタート。テイエムプリキュアが内枠を活かして先頭に立って16頭を引っ張る。
三冠牝馬アパパネは5番手を追走、R.ムーア騎乗のスノーフェアリーはアパパネを見るように6番手を追走。
京都競馬場の勝負所といわれる3コーナーの坂でもピッタリとアパパネの横にいるスノーフェアリー。
4コーナー手前で内スノーフェアリー、外アパパネと並んで直線へと差し掛かる。
逃げたテイエムプリキュアが先頭を譲らず4コーナーから直線に向かう。
4コーナーでは馬場の悪い内側を避けて、テイエムプリキュアを含め全体的に外に膨らみ加減で回る日本馬たち。
すかさずムーア騎手は内側へ進路を取り、それに反応したスノーフェアリーが物凄い脚を繰り出して一瞬で先頭へと踊り出した。
スノーフェアリーがワープした!? そう思えるほどに5番手から一瞬で先頭に立ったのだ。
外を回ったアパパネとあっという間に5馬身くらいの差がついた。
抜け出した勢いそのままに、直線独走で最後は流すようにゴール板を通過したスノーフェアリー。



外から追い込んだメイショウベルーガが2着、スノーフェアリーは4馬身差をつけての完勝であった。
三冠牝馬アパパネは3着確保が精一杯だった。
衝撃的な走りで外国馬初のエリザベス女王杯勝ち馬となった、スノーフェアリー。





次に香港へと転戦し香港カップに出走。直線一気の豪脚を繰り出してクビ差ながらも完勝と呼べる内容だった。





英・愛オークス、エリザベス女王杯、香港カップと4カ国でG1レースを4勝。
この活躍でカルティエ賞(ヨーロッパにおける競馬の年度代表表彰)の最優秀3歳牝馬賞を受賞した。
翌年の2011年シーズンは休養明けのレースで取り消しなど、5戦して未勝利に終わった。
しかし、連覇を狙って再びエリザベス女王杯に出走してきた。
シンメイフジの大逃げから始まった第36回エリザベス女王杯。
大外18番枠から出走のスノーフェアリーは後方からの競馬。
最後の直線で2番手追走のホエールキャプチャが先頭に立つと、外からアパパネ、アヴェンチュラもラストスパート。
その三頭の間を割って、スノーフェアリーが自慢の豪脚を披露して鋭く伸びて連覇のゴール。



2着のアヴェンチュラにクビ差ながらも、完勝といっても良い内容だった。
外国馬による同一G1レース連覇、史上初の記録が刻まれた。



日本の競馬ファンに衝撃を与えた、雪の妖精の舞。
彼女の輝きは、今もなお色褪せない。






