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2024年09月18日 (木)

障害飛越©大友和哉

 馬術競技は動物と共に競技する唯一の競技で有り、また男女の差が無く競技するとても珍しい競技です。女性の選手も大変活躍しており、オリンピックでも何人ものメダリストがいます。

 馬術競技の歴史は古く、オリンピックでは1900年の第2回大会で初めて実施され、1912年の第5回大会からは現在まで欠かされる事なく実施されています。かつてはメイン競技として閉会式の会場で閉会式の直前に行われていたそうです。競技の内容についても細かなルールの変更を除いて概ね現在の形で行われています。競技種目は障害馬術、馬場馬術、総合馬術の3つが有り、それぞれ違った良さを感じる事が出来ます。

 障害馬術は障害を飛び越す迫力が何と言っても見どころとなります。最高のクラスでは高さ160㎝幅180㎝の障害を飛び越します。馬場馬術は20ⅿ×60ⅿのアリーナでフィギュアスケートの様に決められた演技を行い得点を競います。見た目の優雅さは一番の見どころと言えます。総合馬術は1頭の馬で馬場馬術、クロスカントリー、障害馬術をこなす最もタフな競技です。何と言ってもクロスカントリーのスピード感溢れる走りと様々な地形や形状の障害物を飛び越す様は一度見て頂きたいです。

クロスカントリー水濠障害©大友和哉
クロスカントリーの様子©大友和哉

 馬術競技は欧米ではとても人気が高く、日本で人気のフィギュアスケートと同じ会場で行った時、「フィギュアでは会場は埋まらないが馬術では立ち見が出る程になる。」と言われる程の人気競技です。グランプリクラスの競技を間近で見た迫力は相当な物で有り、ルールを知らなくとも楽しめる事でしょう。やはり文化の違いもあり圧倒的に欧米諸国は日本よりも選手の数から馬の質まで勝っている事は否めません。 

 しかし、先日の東京オリンピックでは障害馬術で個人6位、総合馬術で個人4位と戦後最高の成績を収め、日本の実力も上がってきていることは間違いありません。競馬場にあれだけの観客が集まる我が国で馬術競技の認知度、人気が低いというのはとても残念に思いますし、我々競技者のパフォーマンスが不足している事を反省しなければいけないでしょう。

 ほとんどの競技会は入場料等かからず誰でも観戦することができます。また最近では、大きな競技会は動画の配信があり現地に行かなくても見ることが出来るようになりました。興味を持ってもらい現地に足を運びたくなるようなパフォーマンスが出来るようにならなければいけないと思っています。

馬上にて©大友和哉

大友和哉

1986年生まれ
日本大学生物資源科学部獣医学科卒業後現在まで美浦近郊の育成牧場にて、獣医師兼ライダーとして競走馬の育成を主な業務として行いながら、日本大学馬術部のコーチとしても15年程務めている。現在全日本学生馬術大会13連覇中。
同時に馬術競技では総合競技を中心に積極的に参加し、主な成績は全日本学生馬術大会総合競技優勝、全日本総合馬術大会選手権競技5位、東京オリンピックテストイベント出場。
最近は競走馬のリトレーニングにも力を入れており、2023RRCファイナル総合馬術で3位入賞。

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