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2024年12月07日 (日)

初めての競技会編

1日目馬場馬術競技の様子©大友和哉

 昨年9月に競走馬を引退したリヴァーレ(牝、4歳)と共に7月5日~7日に福島県の南相馬市馬事公苑にて開催されたRRC総合馬術競技に参加して来ました。RRC (Retired Racehorse Cup)とは全国乗馬俱楽部振興協会が2018年から開催している競技で引退競走馬を対象とした競技です。最終レースより3年以内の馬が対象で、乗馬としては若い馬達の乗馬・馬術の入り口としての活躍の場となっています。

年末に東京の馬事公苑にて行われるファイナル大会に向け各地で予選が行われます。総合馬術は4回の予選競技があり今回は今年の1回目となる予選でした。総合馬術では予選通過はSS賞(サティスファクトリースタンダード賞)を取る事が求められます。その内訳は馬場馬術 62.000%以上、クロスカントリー 障害減点 0 で規定タイム前後 20 秒以 内、障害馬術タイム減点 0 障害減点 4 以内となっています。今回彼女は初めての競技出場でしたので、このSS賞を目標として定め競技に向かいました。

 初めての場所で普段通りのパフォーマンスをする事は若い彼女らにとって並大抵の事ではありません。競馬で広いコースを全力で走って来た彼女らにとっては尚更の事で、正確にコントロールして馬場馬術の演技をしたり、障害のコースを正確に飛越しなければいけないからです。例に漏れず彼女も入厩初日はとても緊張していました。会場での練習では普段の半分も実力が出せず、僕自身普段の調教を反省するとともに明日以降の競技をちょっと心配してしまいました。とはいえ、普段の練習の質を考えると実力的に上位な事は分かっていたので「初めてだしあまり気負わずに行こう」と考え競技に臨みました。

1日目障害飛越競技の様子©大友和哉

 1日目の馬場馬術は馬の動きの正確さ、スムーズさ、優雅さ等が評価されます。前日からの緊張が取り切れず、演技前半は動きもすごく硬くなってしまいましたが、後半になるにつれて本来の動きを取り戻してくれて何とか最終得点率62.5%、減点37.5で終わりました。午後の障害馬術は初めての馬にとっては少し難しいコース設定で、幾つか危ない場面はあったものの減点0で終わることが出来ました。1日目終了時点では出場11人馬中8位の成績でしたが初めての競技にしては上々の成績で、SS賞の権利を持って2日目を迎えました。

 2日目のクロスカントリーは昨日一昨日の緊張が嘘のように集中した走りを見せてくれて危なげない走行で、減点0でゴールしました。初めの目標であったSS賞も獲得したのでファイナル大会の出場権も得る事が出来、最終的に順位も4位まで上がり初出場としては出来過ぎの成績で競技を終えることが出来ました。

2日目のクロスカントリー競技の様子©大友和哉
2日目のクロスカントリー競技の様子©大友和哉

 入厩日から最終日にかけて彼女は私の想像を遥かに超えて成長してくれました。特に最終日のクロスカントリーは普段の練習よりも良く集中していました。本当に素質を感じています。大事に成長させて今年は年末のファイナル大会で優勝争いが出来るくらいになれればと思っています。

大友和哉

1986年生まれ
日本大学生物資源科学部獣医学科卒業後現在まで美浦近郊の育成牧場にて、獣医師兼ライダーとして競走馬の育成を主な業務として行いながら、日本大学馬術部のコーチとしても15年程務めている。現在全日本学生馬術大会13連覇中。
同時に馬術競技では総合競技を中心に積極的に参加し、主な成績は全日本学生馬術大会総合競技優勝、全日本総合馬術大会選手権競技5位、東京オリンピックテストイベント出場。
最近は競走馬のリトレーニングにも力を入れており、2023RRCファイナル総合馬術で3位入賞。

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