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 2月1日はプロ野球のキャンプイン。競馬も好きだがプロ野球も大好きな筆者。球春到来に胸が躍る。

 ということで競馬面だけでなく、スポーツ紙の野球面まで目を皿のようにしてチェックしているが、先日、気になる記事を見つけた。ソフトバンク・柳田悠岐が自主トレを共にする日本ハム・清宮幸太郎に馬主になることを勧めたというのである。

 「馬主になれということは、つまり打って稼がなきゃなれないぞ、ということです。去年からずっと言われています。打て、稼げ、馬主になれ、って」(清宮)

昨年末、小倉競馬場でトークショーを行ったソフトバンク・柳田悠岐©スポーツニッポン新聞社

 うーむ、素晴らしい“馬主ノススメ”である。ギータ(柳田)が球界きっての超高額年俸選手となった裏には、馬主になるという熱いモチベーションがあったのだ。

 グリーンチャンネルの看板番組に「競馬場の達人」がある。かつて柳田選手も出演し、22年11月13日の阪神競馬場で一獲千金を目指した。

 その購入ぶりは球界の第一人者にふさわしい豪快なものだった。

 早朝1Rから単勝5万円。メインには30万円、最終レースには20万円を投下。トータルで100万円を購入し、最終的に135万5000円をゲット。周囲に1万円ずつご祝儀を配るという貫禄の大勝だった。

 これは余談だが、その買い方を見て、野球に通じるものを感じた。

 たとえば、ムーアの馬の単勝を買って、負けると、柳田選手はもう一丁ムーアの馬を買うのである。

 この日もメインのエリザベス女王杯でデアリングタクト(6着)の単勝を買って外れた。すると、最終12Rではそのデアリングタクトに乗った松山弘平騎手の馬(モズリッキー)の単勝にズドン。帯封をゲットして見事リベンジを果たすのである。

 つまり、柳田選手は野球でも“もう一丁狙い”が多いのではないか。前の打席でカーブをホームランした。普通は“もうカーブは来ない、真っすぐを狙おう”と考える。しかし、ギータはそうではない。“もう一丁カーブ狙ったれ”だ。

 そこで“もうカーブは来ないと思っているはず”と裏をかいた捕手がカーブのサインを出す。狙いはピタリ、ドカーン!ということである。知らんけど。

 この番組内で柳田選手が明かしていたのが馬主になるという夢だった。プロ野球選手になった(11年)時からの希望で、22年秋にJRAの馬主登録に通った。

 そして北海道セレクションセールで購入したゴッドヴァレー(牡4=渡辺)が昨年2月、小倉で未勝利戦を快勝した。同馬の厩務員はホークスの“柳田ユニ”を着用し、ユニホームにはサインも入っていた。非常にほほえましかった。柳田選手は着々と夢を現実のものとしていた。

 野球選手と競馬といえば、こんな話を聞いたことがある。友道康夫調教師が“大魔神”佐々木主浩オーナーと野球観戦に行った時のこと。

 ランナー一塁の場面で佐々木オーナーがこう言ったそうだ。「ここは投手が外角低めにスライダーを投げて、打者が引っ掛けてセカンドゴロでゲッツーです」

 いくら野球を極めたオーナーとて、そんな未来のことまで分かるのかと友道師がいぶかしげに思った次の瞬間、打者は平凡な二塁ゴロを打って、本当にゲッツーが成立した。

 目が点になった友道師にオーナーは以下のようなことをこともなげに言ったそうだ。投手の持つ球種、調子、捕手の思考パターン、打者の能力、狙いの傾向、調子、走者の足…。そのあたりを総合的に判断すると自ずと結果が見えてくると。

そして同様のことが試合中に何度も起きたそうだ。「人生で一番楽しい野球観戦だった。不思議な経験。大リーグのトップまでいった超一流の凄さを知った」。そんな魔法のようなことが何度も起これば、カリスマトレーナーの友道師とて、そう思うだろう。

佐々木主浩オーナーの競馬における素晴らしい実績は改めて説明するまでもないが、この分析力、洞察力が競馬に生きていることは間違いない。

 柳田選手といい、佐々木オーナーといい、プロ野球のトップまで行くような人は異業種(ここでは競馬)でも成功を収めるのだな、と改めて感じた次第である。今後もさまざまな業種のトップが競馬の世界に参加して、異能の力を競馬でぜひ発揮してほしい。

鈴木正 (Tadashi Suzuki)

1969年(昭44)生まれ、東京都出身。93年スポニチ入社。96年から中央競馬担当。テイエムオペラオー、ディープインパクトなどの番記者を務める。BSイレブン競馬中継解説者。

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