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2024年12月07日 (日)

「金峯神社の『流鏑馬』」

投稿日:

(新潟県長岡市) 毎年7月15日

平安時代から粛々と受け継がれる長岡市無形文化財指定の神事

本殿前では狛犬ならぬ狛馬が神様を守護しています。
金峯神社の御神木である大欅は樹齢約800年。威厳に満ち、その歴史を感じさせてくれます。

中越地方でもっとも古い神社のひとつで、「蔵王さま」の愛称で親しまれている新潟県長岡市にある金峯神社では7月14日、15日に例祭が行われます。14日に宵宮神事が斎行されると15日には馬を馳せながら的を射る神事、流鏑馬(やぶさめ)が行われます。

金峯神社の流鏑馬は平安時代、源義家公が奥州安部貞任・宗任の討伐の折に、北陸街道を下降し、金峯へ参拝し朝敵降伏を祈願して流鏑馬を奉納した事が始まりと伝えられています。

金峯神社の境内にはかつて南北朝時代に築城された蔵王堂城の土塁が現在でも残されており、今では桜の名所となっています。
約200メートルある参道を神馬が疾走すると境内からは歓声が鳴り響きます。

以来国主・領主・氏子崇敬者の外護を受け長い歴史をつなぎながら今日まで伝わっています。戦国時代では上杉輝虎・景勝を始め堀秀治・忠俊、松平忠輝、堀直寄諸公達は祭馬12疋(ひき)長柄100筋の他に警衛の士卒を差し出されました。また江戸時代に牧野公が長岡に入部された以来は、代々祭馬5疋長柄20筋物頭両人、組子100人ずつを警衛として差し出され、長岡十八ヶ町より屋台18台が出されました。

稚児舞のようす。見物に訪れた幼児はきれいに舞うお姉さんたちをみて、私も大きくなったらやってみたい、と思うことでしょう。

この流鏑馬祭は国を挙げての祭として『天下祭』或は『国祭』とも称され、明治以降は氏子崇敬者の手により執行され、現在は7月15日の例祭日に馬3疋で執り行われています。

当日は午後の2時より例祭神事が行われます。また前日の14日に続いて笛や太鼓のお囃子に乗っての稚児舞が奉納され、午後の5時に流鏑馬神事が始まります。拝殿から大鳥居までの参道を大きな馬が疾走する姿を見て、観客からは盛大な歓声が鳴り響きます。

流鏑馬が行われる時期と同じくして金峯神社では多くの風鈴が飾られます。境内には鈴たちが涼しい音色を奏で暑さを忘れさせてくれます。

金峯神社の流鏑馬は昭和46年には長岡市無形民俗文化財に指定され、新潟県内では金峯神社と佐渡に残っているのみで極めて貴重な神事となっています。

四季に彩られた金峯神社は春には春季大祭、6月30日と12月31日と年に2度行われる大祓、7月15日の流鏑馬神事、など1年を通してさまざまな祭事が行われます。中でも毎年11月5日に行われる、信濃川でとれた鮭を神宮が直接手をふれないように鉄箸と包刀とで調理し、鳥居の形にして神前に供える全国でも珍しい祭事『王神祭』が有名で、その特殊性をもって新潟県無形文化財に指定されてます。

金峯神社

新潟県長岡市西蔵王2-6-19

アクセス
車◉関越自動車道長岡ICより車で15分
車◉北陸自動車道 長岡北IC(スマートIC)より車で8分
バス◉JR長岡駅(大手通側)よりバスターミナル13番宝町行、もしくはエコトピア寿行で10分、「蔵王」下車徒歩3分
電車◉JR北長岡駅下車徒歩15分

金峯神社の起源

金峯神社の御祭神は、金山彦命(かなやまひこのみこと)をご正殿にお祀りしています。古来より鉱山守護の神として崇められていました。製鉄、鍛冶の他、金運・縁結びのご神徳があると崇敬されております。金峯神社は近隣の人には「蔵王さま」と呼ばれていますが、明治時代までは蔵王権現(ざおうごんげん)と称し、神仏習合の特色が強い霊場でした。近くには今でも掘跡と土塁を残す、中世には珍しい平城の蔵王堂城や蔵王の大けやきなどの史跡も多く残っています。

取材後記…
流鏑馬が行われる日は大勢の観客が訪れ境内がにぎわいますが、後日神社を訪れると風鈴の静かな音色が参道に響き渡り、暑さと心を静めてくれます。その両隣には狛犬ならぬ狛馬があなたを出迎えてくれます。
文/邦馬

取材協力・写真提供
◉金峯神社
新潟県長岡市西蔵王2-6-19
TEL 0258-32-2337

◉一般社団法人 長岡観光コンベンション協会
新潟県長岡市大手通2-2-6
(ながおか市民センター内2階)
TEL 0258-32-1187

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