今回から不定期シリーズ物として競馬場の事を書かせていただく。全国にある中央地方合わせて25場で僕が行ったことのある競馬場を関係者の目線からご紹介しようと思う。
僕は来年6月に定年退職予定で、今年が最後の北海道出張だからという梅田調教師の配慮で今回は久しぶりに函館開催の最初から行かせてもらえる事になった。
競馬場探訪シリーズは、40年間の思い出がいっぱい詰まった函館からスタートしたい。
僕が出張競馬で初めて北海道に来たのは1985年、24歳の時だった。
1996年まで北海道での競馬開催は16週間あり(現在は13週間)6~7月が札幌、8~9月が函館で現在と逆だった。10月から滞在型福島競馬も2ヶ月あり一度栗東から出ると半年帰ってこれないという年もあった。
僕らが若い頃はこれから待ち受けているであろう北の大地での色々な出来事に胸を踊らせながら青森港からの函館行きのフェリーに乗り込んだものだ。
でも今の若い人達は「できれば北海道出張は行きたくない」という人が多いらしい。その理由は人それぞれみたいだが勿体ないなぁと思わずにはいられない。毎年都道府県人気ランキング1位の北海道は皆の憧れの観光地で、そんな誰もが行きたがる所に旅費も宿泊費もタダでしかも1日いくらかの出張費まで出るのだ。後輩達に「行かないと人生損するぞ」と声を大にして言いたい!
函館競馬場はスタンドから海の見える競馬場として有名で、真夏でも比較的涼しい事から昔は各厩舎の有力馬の避暑としても使われた。
現在は開催が8週間から6週間へと減り開催終了後には札幌競馬への輸送競馬としてのトレセン的感覚で使われているが(通称裏函)、それは全国のJRA競馬場で唯一ウッドチップの外周コースがあるからだ。
現在は栗東や美浦はもちろん育成牧場なども坂路を含む複数のコースが整備され、その敷料はウッドチップや全天候ポリトラックだ。ダートコースのみで調教されていた昔に比べて脚の故障や疾病などは飛躍的に軽減された。
芝コースも札幌と同じ洋芝(ベント芝)で、年に6週間しか競馬で使われないのが勿体無いほど素晴らしく、裏函でも調教で使用されている。
函館はそんな多種多様なコースを備えている上に、本州はもちろんのこと札幌に比べてもかなり涼しいので夏場に馬達が調整するにはうってつけの場所なのだ。
今年も開催が終わった函館競馬場だが、まだたくさんの馬達が札幌や秋のレースに向けて調教されている。
つづく