毎年6月の三週目にイギリス、アスコット競馬場で行われている、英国王室主催の競馬開催「ロイヤルアスコット」
1711年にアン女王が「アスコット競馬場こそ、競走馬が全速力で走るのに最も適した場所 」と定められて以降、300年以上続く、英国王室主催の競馬開催である。
開催期間中、ウインザー城から王室の方々のパレードを経て、レースが始まり5日間に渡る熱戦が繰り広げられる。
競馬=貴族の社交場、という英国の文化そのままに、この日を待ちわびた紳士・淑女がそれぞれにおめかしをして来場し、18世紀から続く競馬の祭典を盛り上げる。
ワタシは2011年に初めてアスコット競馬場の撮影に出かけ、ロイヤルアスコットの雰囲気の良さを肌で感じる事が出来た。
王室のパレードはパドックまで続き、かなり近い距離でエリザベス女王(当時)を撮影する事が出来た。
アスコット競馬場といえば、改修工事の際に東京競馬場を参考に建て替えられたと言われており、どことなく似ている部分があるな!と感じた。
自然の地形を活かした場所をそのまま馬場にする英国競馬、アスコット競馬場はゴールまで登り坂が続くタフなコースで、高低差が20mもあり競走馬にとっては過酷なレースが行われる。
レース撮影に関しては、日本で撮るよりは規制は少なく、馬を驚かせるような行為以外は自由に撮影することが出来て、とても撮りやすかった印象が残る。
この年は日本のグランプリボスが、セントジェームズパレスステークス(G1)に出走するので撮影に出掛けたのだが、タフなコースも影響し9頭立ての8着でゴール、勝ったのは英国競馬史上最強馬の呼び声が高い怪物フランケル!(14戦14勝・G1レース10勝、二着に付けた合計着差76馬身1/4)
日本馬が負けたのは残念だったが、歴史的名馬フランケルの雄姿を収める事が出来たのは収穫であった。
このロイヤルアスコット開催中のとあるレース前に、足元にリモートカメラの設定をしていると、シルクハットに燕尾服を着た男性に声をかけられた「何をしているんだい?」『リモートカメラをセッティング中だよ』と応答した、そのやり取りのシーンを、内ラチ沿いに居た仲良しの日本人カメラマンが撮っていてくれた。
彼はニヤっとしながら「ビンスルールと何を話してたん?」『ん? 馬主さんとかと違う!?』ワタシはセッティング中でまともに顔を見ずにいたので、上品な服を着た馬主さんか何かだと思っていたら、世界的な活躍馬を排出する調教師であるサイード・ビン・スルール師であったのだ。
普段のビンスルール師はドバイで見る、アラブの衣装を着た姿でシルクハットに燕尾服では全くの別人に見えていたのだ。
その時のリモートカメラで撮影したレース写真がこちら。
直線レースが多く、内ラチ沿いか外ラチ沿いに分かれるレースがあり、どちらを走って来ても良いように狙ったカットだ。
総じて好印象のアスコット競馬場での撮影、レース前に調教師が気軽に声をかけてくれるような、華やかさの中に暖かさを感じたロイヤルアスコットだった。