2000年の第30回から現在まで、3月最終日曜日に開催されている高松宮記念。その3月最初に行われた高松宮記念を制したのが、個性派キングヘイローである。
父:ダンシングブレーブ(凱旋門賞勝利など80年代ヨーロッパ最強馬と呼ばれた)
母:グッバイヘイロー(アメリカのG1七勝)
という世界的な良血馬で、いずれは大きなレースを勝てるとデビュー前から言われていた。
デビュー2年目の福永祐一騎手(現調教師)とのコンビで2歳の新馬戦デビューから3連勝で重賞を制し、評判通りにクラシック候補に名乗りを上げた。
3歳のクラシックシーズンは皐月賞2着、日本ダービー14着、菊花賞5着など7戦するも、全て未勝利で終わった。
4歳のシーズンに入り、柴田善臣騎手とのコンビで重賞連勝して本格化!と思われたが、その後も6戦未勝利に終わる。
5歳を迎えて陣営は新たなチャレンジとなるダートのG1レース、フェブラリーステークスへの出走を決断。初ダートながら距離適性で1番人気に支持されたキングヘイロー。しかし本来の力を発揮できずに13着でゴール。
そして迎えた芝1200mのG1レース高松宮記念。17頭の快足自慢が出走し、キングヘイローは柴田善臣騎乗で7枠13番という外枠からの発走となった。
スタートダッシュを決めるメジロダーリングに続き、好スタートから2番手を追走したのは、1番人気武豊騎乗のアグネスワールド。まずまずのスタートから中団の外目を追走し、流れに乗りながらスパートのタイミングを測る柴田善臣騎手。
直線に向いてメジロダーリングが後退すると、アグネスワールドがラストスパートをかける。連れて内から福永祐一騎乗のディヴァインライトが伸びてくる。この二頭の争いかと思われた中、ワンテンポ遅れて大外から物凄い差し脚で伸びてきたのはキングヘイロー!

内ディヴァインライト、中アグネスワールド、外キングヘイローの三頭の争いもゴール板で僅かに外のキングヘイローが二頭を交わしており、G1初制覇となった。



クビ差の2着にクラシック路線を一緒に歩んだ福永祐一騎手が入り、このドラマのような結末に華が添えられた。ハナ差の3着にアグネスワールドが入った。

この年の有馬記念(4着)で現役を引退したため、最後の勝利となったのがこの高松宮記念である。1200mのG1レースを制し2500mの有馬記念でも4着と多才な能力を見せたキングヘイロー。トレードマークの緑のシャドーロールを付けた高松宮記念での口取り撮影がとても誇らしげに写った。

この高松宮記念でのレース撮影に関していうと、1番人気のアグネスワールドが抜け出しそうになり、内からディヴァインライトも伸びてきて、さらに外から鋭く伸びるキングヘイローと、勝ち馬を見極めるのにとても難しかった記憶がある。ギリギリまでターフビジョンを見ながら、なんとか捉えられた勝ち馬の写真は生涯唯一のG1レース勝利の瞬間となった。
今年の高松宮記念も熱い戦いに期待しつつも、撮影は簡単なレースになりますように!と願うばかりだ。