日本の競馬界を変えた大種牡馬「サンデーサイレンス」
1994年にデビューした初年度産駒から次々と活躍馬を輩出。
昨年12月のコラムで取り上げたフジキセキもそのうちの一頭である。
弥生賞直後にフジキセキの電撃引退が発表され、混沌としたクラシック戦線を迎える事となり登場したのが今回の主役「ジェニュイン」だ。
父サンデーサイレンス、母クルーピアレディ、「正真正銘の、本物の」という意味の英語Genuineから付けられた青鹿毛の4歳(当時の表記)牡馬ジェニュイン。
5戦3勝、2着2回という連帯率100%の戦績で皐月賞に出走してきた。
岡部幸雄騎乗で3枠(赤色の)6番の染め分け帽子で出走のジェニュイン。
好スタートから2番手のポジションで流れに乗ってレースを進める。
馬群がかたまりとなって迎えた勝負所の4コーナー、そこで2番手から先頭を伺う勢いのジェニュイン。
逃げたマイネルブリッジが残り200mまで先頭も、坂を上った辺りでジェニュインが先頭に立つと、馬群の間を割ってこちらもサンデーサイレンス産駒のタヤスツヨシが猛追。
先に抜け出したジェニュインにクビ差まで追い詰めるも、猛追叶わずゴール板を迎えた。
1着ジェニュイン、2着タヤスツヨシ(クビ差)、3着オートマチック(2馬身)という結果であった。
フジキセキ不在のクラシック第一弾の皐月賞だったが、終わってみればサンデーサイレンス産駒のワンツー決着となった。





日本ダービーで二冠を目指したジェニュインであったが、皐月賞で2着に負かしたタヤスツヨシに1馬身半差及ばずに2着でゴール。
ここでもサンデーサイレンス産駒のワンツーフィニッシュとなった。
3着オートマチック、4着ホッカイルソーと上位二頭の着順が入れ替わり、3、4着は皐月賞と同じ結果であった。
秋には4歳(当時の表記)ながら距離適性のある天皇賞秋に出走し、サクラチトセオーのハナ差の2着と実力を見せた。
翌年にはマイルチャンピオンシップを制し、G1レース2勝目を挙げたジェニュイン。
G1レース2勝、2着3回、3着1回と活躍を見せて、サンデーサイレンスの大偉業(13年連続リーディングサイアー)の最初の1ページに名前を刻んだ。
この年のサンデーサイレンス旋風は牡馬クラシックにとどまらずに、牝馬のダンスパートナーが桜花賞2着、オークス1着とこちらも初年度産駒からG1ホースを輩出。
1995年の春のクラシックシーズンは、新種牡馬サンデーサイレンス旋風が巻き起こり、日本の競馬の新たな歴史が生まれた年となった。
このサンデーサイレンス大旋風から早くも30年が経つ。
昨年はサンデーサイレンスの孫にあたるキズナ(父ディープインパクト)がリーディングサイアーを獲得。
今年の皐月賞に出走する有力馬の一頭であるクロワデュノールもサンデーサイレンスの曾孫(父キタサンブラック)である。
30年経っても血統表に記される「サンデーサイレンス」の文字、産駒最初のクラシック勝利で旋風のきっかけとなった1995年の皐月賞。
今年の皐月賞は勝ち馬はもちろん、その父の名前にも注視したいと思う。