2010年の凱旋門賞でナカヤマフェスタがアタマ差の2着になり、もう少しで手が届きそうなシチュエーションで泣いた撮影から2年後。
前年の三冠馬オルフェーヴルが満を持して、2012年の凱旋門賞に出走してきた。
三冠達成の後、3歳で有馬記念を制して日本最強馬の称号を得る。
しかし年明けの阪神大賞典ではレースの途中で止めようとして、そこから巻き返して半馬身差の2着。
続く天皇賞春では見せ場なく11着も、宝塚記念では2馬身差の完勝。
圧倒的な強さと精神的なモロさが同居しているような馬だった。
迎えた凱旋門賞では後方待機策から、残り400mでスミヨン騎手のゴーサインに応えてスパート。
残り300mで他馬が止まって見えるほど完全に抜け出して、楽勝ムードを演出。
オルフェーヴルの圧倒的な強さが出た!
撮影しながら「勝つ時って、こんなあっさりと勝っちゃうんや!」と、冷静にファインダーに集中した。
しかし猛烈な勢いで抜け出したと思ったら、急激に内ラチに寄れて失速。
最後まで諦めなかったペリエ騎乗のソレミアがじわじわと一完歩ずつ迫り、残り数メートルのところでクビ差交わされたところがゴールだった。




最後の最後でモロさが出た、この時は悔しいというより呆然。
撮影しながら、声が出た。
「よっしゃー! ん? あれ? あれれ?? あーーーーーー」
不思議と涙は出なかった。
届きそうでとても遠い、ナカヤマフェスタの時のアタマ差・オルフェーヴルのクビ差だった。
ロンシャン競馬場に話を戻すと、老朽化がひどいロンシャン競馬場のスタンドを全面改装し、新たなスタンドが作られることとなった。
2016年から期間は2年間で、その間の凱旋門賞はシャンティイ競馬場で行われた。
世界一美しいと言われるシャンティイ競馬場。
この競馬場名物である3コーナー手前に見える大厩舎(グラン・エキュリ)、4コーナー付近に見えるシャンティイ城。
この競馬場で開催される凱旋門賞もとても華やかだった。









2017年シャンティイ競馬場での凱旋門賞、2018年リニューアルオープンしたパリロンシャン競馬場での凱旋門賞を連覇したエネイブル。


史上初の異なる競馬場での凱旋門賞連覇であった。


2018年にリニューアルオープンしたロンシャン競馬場。
リニューアルオープンを機に「パリロンシャン競馬場」と改名された。






黄金色をあしらった、近未来のビルのようにも見える斬新なデザインのスタンド。
パドックも森のような感じから、スッキリした見やすい作りに変わった。
最後の直線に内ラチ沿いを進む馬に不利益が生じないように、オープンストレッチが採用されるなど新しく生まれ変わった競馬場。
以前の面影は全くなく、完全リニューアルされた。
今年の凱旋門賞に、執筆時点で3頭の日本馬が出走予定している。
それぞれが現地フランスでの前哨戦を使ってからの凱旋門賞。
しかも3頭とも勝利して本番に挑むという。
こんな状況で迎える初めての凱旋門賞。
今年こそ日本馬悲願の勝利!が達成されるかもしれない。
その歴史的瞬間を収める為に、今年も現地に赴き撮影する。
2週続いたこのコラムが掲載されている時には、撮影しながら嬉し涙を流しているワタシがいるかもしれない。