ホッコータルマエ
Hokko Tarumae
牡、2009年5月26日生まれ
父キングカメハメハ
母マダムチェロキー(父Cherokee Run)
馬主/北幸商事
調教師/西浦勝一
生産牧場/市川ファーム
通算成績/39戦17勝
ホッコータルマエが新記録を達成したのは2016年1月27日のことだった。川崎競馬場のダート2100㍍で行われた川崎記念に出走したホッコータルマエは幸英明騎手を背に4番手を進んだ。2周目の向こう正面からスパートを開始。最後の直線で前を行くサミットストーン、マイネルバイカをかわして先頭に立つ。外からサウンドトゥルーが迫り、ゴールまで2頭の競り合いが続いた。ホッコータルマエが意地を見せ、アタマ差踏ん張ったところがゴールだった。
川崎記念3連覇を達成するとともに、中央・地方の交流戦である統一ダートGⅠで通算10勝目を挙げた。それまでの記録はヴァーミリアンとエスポワールシチーが持っていた9勝。史上初めて2ケタの大台に乗せたのがホッコータルマエだった。のちにコパノリッキーが統一ダートGⅠで11勝という新記録を達成するのは翌年のことである。
ホッコータルマエは堅実そのものの競走馬だった。デビューから引退レースとなったJBCクラシック(川崎競馬場)まで39戦し、掲示板(5着以内)を外したのはわずかに4度だけ。早くからトップクラスで戦ってきたことを考えると驚くべき成績だ。
大敗した数少ないレースのひとつがデビュー戦だ。12年1月14日、京都競馬場のダート1400㍍で初の実戦を迎えた。16頭立て11番人気の伏兵だった。着順も人気通りの11着。勝ち馬から2秒6も離されていた。1度レースを経験したホッコータルマエはわずか2週後、大変身を見せる。小倉競馬場に遠征して迎えたダート1700㍍の未勝利戦で初勝利を挙げる。最後の直線で素晴らしい伸びを見せ、本命馬を競り落とした。
その才能が開花したのは4歳になった13年だ。この年は10戦し、佐賀記念(統一GⅢ)、名古屋大賞典(統一GⅢ)、アンタレスS(JRA・GⅢ)、かしわ記念(統一GⅠ)、帝王賞(統一GⅠ)、JBCクラシック(統一GⅠ)、東京大賞典(GⅠ)と重賞レースばかり5連勝を含め計7勝を挙げた。環境の変化にも強く、7勝を6つの競馬場で挙げた。14年にはチャンピオンズCを制し、統一GⅠ6勝目にして初めてJRAのGⅠで勝利を飾った。
16年の東京大賞典を最後に現役を引退する予定だったが、JBCクラシック出走後に脚部不安が見つかり、予定を繰り上げて競馬場を去ることになった。
種牡馬になったホッコータルマエは生産地から大歓迎された。1年目の17年に164頭の牝馬に種付けするほど人気を集め、23年までの7年間、常に年150頭以上の種付けを行っている。それもこれも産駒がしっかりと結果を残しているからだ。子どもたちは父と同様、ダート戦で好成績を残している。ブリッツファング(牡)やレディバグ(牝)、ゴライコウ(牡)、ウルトラノホシ(牡)と初年度産駒から21年生まれの現3歳まで4世代すべてで重賞勝ち馬が誕生している。統一ダートGⅠ10勝の底力は間違いなく子どもたちに伝わっている。