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2024年12月04日 (水)

 10月30日~11月4日にかけて東京のJRA馬事公苑にて、全日本学生馬術大会が行われました。学生馬術の日本一を決める大会です。種目はオリンピック等と同じく、障害馬術、馬場馬術、総合馬術と3つの競技が行われます。各地の予選会を勝ち抜いた人馬が全日本学生に進むことができます。

 障害馬術は100人馬、馬場馬術は44人馬、総合馬術は75人馬の出場が有り、特に総合馬術に関してはこれだけの人馬が同じ競技で出場するのは日本ではこの大会しかない程、とても大きな競技会となります。

関東学生集合写真。関東からは17大学が参加しました。©大友和哉

 学生馬術と一般の馬術競技とで一番に違う事は、学校対抗の団体戦である、という事です。団体成績はオリンピック等と同様に、各校の上位3人馬の減点または得点の合計により競います。

 このような方式での団体戦は国別対抗等の国際大会を除いて、ほとんど行われていません。パリオリンピックで総合馬術団体銅メダルを獲得した「初老ジャパン」メンバーも4名中3名が学生馬術出身者です。団体戦の何たるかを学生時代に勉強した成果は、少なからずあった事と思われます。

 また学校の活動、所謂部活としての馬術がこれほど発達しているのは、我が国特有の文化でもあります。表彰式においても、団体優勝校の栄誉を称え、校歌斉唱が行われます。私の学生時代はなかなか勝てなかった為、とても憧れていました。

 競技のレベルとしては、障害馬術はM-Bクラス高さ130㎝で、馬場馬術はJEF(日本馬術連盟)5課目相当で決勝は自由演技、総合馬術はJEFEV95相当で行われます。

障害飛越競技の様子©大友和哉
©大友和哉

 強豪校と言われる大学の選手たちは、一般の全日本大会にあまり引けを取らないパフォーマンスを見せてくれます。一方、そのような選手に交じって大学から馬術を始めた選手たちも、少なからず交じって競技を行いますので、様々なタイプの選手達を見られる事は、学生馬術観戦の魅力と言えるでしょう。

 東京オリンピックの為にJRA馬事公苑が改修工事に入る以前は、馬事公苑での開催が主流だった為、馬事公苑は学生馬術の聖地でありました。その馬事公苑に、今年は8年ぶりに全日本学生が帰って来て、とても嬉しかったです。特に以前よりも一般の来場者が非常に多くなった様に感じられました。

馬場馬術競技の様子©大友和哉

 馬場馬術の決勝競技では、インドアアリーナの観客席がいっぱいで立ち見の方が出る程で、以前では考えられない盛況ぶりでした。障害競技でも暖かい声援を沢山頂き、選手達もとても励みになった事と思います。

 皆さんの心に残る走行、演技が出来るように、これからも頑張りたいと思います。

大友和哉

1986年生まれ
日本大学生物資源科学部獣医学科卒業後現在まで美浦近郊の育成牧場にて、獣医師兼ライダーとして競走馬の育成を主な業務として行いながら、日本大学馬術部のコーチとしても15年程務めている。現在全日本学生馬術大会13連覇中。
同時に馬術競技では総合競技を中心に積極的に参加し、主な成績は全日本学生馬術大会総合競技優勝、全日本総合馬術大会選手権競技5位、東京オリンピックテストイベント出場。
最近は競走馬のリトレーニングにも力を入れており、2023RRCファイナル総合馬術で3位入賞。

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