今週の中央競馬は3日間開催で月曜にセントライト記念。このレースは個人的に好きな一戦だ。
かつては84年シンボリルドルフ、87年メリーナイスなどダービー馬が秋初戦として選択し、その力を見せつけた。近年は春のクラシックで敗れた馬が改めて能力を示すパターンと、夏の上がり馬が勢いに任せてGⅡを獲るケースに分かれ、予想者としてはかなり面白い。個人的には春の惜敗組が勝ち切るケースが好きで熱くなる。
02年バランスオブゲームも、そのパターンだった。春は弥生賞を勝ったが、皐月賞8着、ダービー7着。菊花賞こそ、という思いを抱きたくなるセントライト記念制覇だった。
この年は新潟でのセントライト記念。1000m通過61秒1のスローの中、3番手でがっちりと折り合い、残り200mで抜け出した。鞍上・田中勝春騎手(現調教師)はこの年の夏、新潟記念(トーワトレジャー)、新潟2歳S(ワナ)に続き、重賞騎乗機会3連続Vの離れ業を披露。「いい馬に乗せてもらっているからだよ。夏も好きなんでね」と謙遜したが、その安定した騎乗ぶりには何度も感嘆した。
表彰式で胸を張ったのは薗部博之オーナー。ご存じ、「ダービースタリオンシリーズ」の開発者だ。
筆者は、今や世界一となった日本の競馬にとって「ダビスタ」が果たした役割は相当に大きかったと考えている。筆者がトレセンに通った頃、若いホースマンに「なぜ競馬の世界に?」と聞くと、多くの人が「ダビスタで競馬に興味を持ったから」と答えた。
競馬ファンの多くが種牡馬、血統に詳しいのはダビスタ由来だろうと推察できるし、ダビスタがなかったら競馬はどうなっていたのか。想像するとゾッとする。
実は筆者、ダビスタにはいち早く興味を抱いたと自負している。なぜなら薗部氏がダビスタに先駆けて作ったファミコンソフト「ベストプレープロ野球」にハマり、薗部氏の次回作に大いに期待していたからだ。
「ベストプレープロ野球」は投手が画面上で投げた球をスコンと打ち返すようなアクションゲームではない。プレイヤーは監督となり、実績に即したデータを与えられた選手を使ってペナントレースを戦い抜く。試合中に指示を出してもいいし、コンピューターにお任せでもいい。自分はコンピューター任せで、試合結果を確認するだけなのだが、これが実に面白い。弱いと思っていたチームに打ち込まれると、どうしてだと思う。そこがこのゲームのツボだった。
話がそれた。そういうわけでダビスタはいち早く手にしたし、実際、面白かった。「面白い配合」「マチカネイワシミズ」「なんか様子がヘンです」で胸がザワつく人、今も多いでしょう?
そんなダビスタや薗部博之オーナーには馬事文化賞的なものを授与してもバチは当たらないだろうと思っている次第である。そういえばバランスオブゲームの母は「ホールオブフェーム」、和訳すると「殿堂」である。やっぱりダビスタは殿堂入り(表彰)すべきではないのかなあ。