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2024年12月03日 (水)

「田代神社の『御田祭』」

投稿日:

(宮崎県美郷町) 毎年7月第1土・日曜日

人と馬と牛が泥まみれになり無病息災と豊作を祈願します

彦火々出見命の御神霊が安置された神輿が上円野神社を出発! 上の宮田へと向かいます。

宮崎県、美郷町で行われる田代神社の御田祭(おんださい)は、日本神話に登場する主祭神、彦火々出見命(ひこほほでみのみこと)の御神霊を、上円野(うえんの)神社よりお迎えし、上の宮田から中の宮田への御神幸により行われる千年の伝統をもつ田植祭りです。

田代神社は、標高897.7メートルの日陰山、またの名を権現山の中腹に祀られ、長元五年壬申の年(1032年)に創建され、旧社名を霧島神社といいます。

祭りの日は、田代神社の本社が権現山の中腹にあるため、上円野神社までの神霊の御降りを願います。主祭神の彦火々出見命の御神霊は安置された御輿に乗り移られ、途中上の宮田に神幸、田植え終了後中の宮田に祀ってある年の神に神幸されます。

祭りには2頭の神馬が登場します。鞍のない馬に乗り、新田を疾走し整地します。泥飛沫が派手に生じ見物客にまで届きます。この飛沫には神様による無病息災のご利益があります。

祭りは古来から、世襲制の家柄が中心に祭事役【サルタヒコ(御神幸行列の案内役)・ミヨド(祭事の世話役)・ウナリ(白衣にたすきをかけ、頭上に赤飯を入れた飯びつをのせて運び、参詣者に赤飯おにぎりを配る人)・ノボリモチ(幟(のぼり)の持ち手)】を務め、これに一般の参詣者も加わって、神人・牛馬一体となって神田の整地から田植えを行い、参詣者の無病息災と豊作を祈願します。また同時に、牛馬の守護神かつ農耕の神として、牛馬安全も祈願します。

この神田の泥しぶきを浴びると人はもちろん、牛馬の無病息災が約束されるといわれています。

御田祭は馬だけではなく牛も登場し、神田を整地します。
牛馬による神田の整地が終わったあとは、子どもみこし入れが行われます。

この祭りには、平安時代に流行した歌謡の一種である催馬楽(さいばら)の歌詞も伝えられ、古来の田楽神事がしのばれる近郷では珍しい民俗行事です。昭和63年3月8日、無形民俗文化財として県の指定を受けました。

子どもみこし入れが終わったら、青年たちによるみこし入れ。担ぎ手の威勢のよい掛け声と、泥飛沫があたり一面に届きます。
新田が整地されると、女性たちによる田植え神事が行われます。
祭りの開催は梅雨明けのシーズン。初夏の太陽が神田を照らします。
神事を終え、神輿が田代神社へと無事帰還。担ぎ手たちの安堵の表情が見られます。
鳥居からははるかに広がる田園風景が見られます。美郷町は町土の93%を山林が占める自然豊かなところです。

田代神社

宮崎県東臼杵郡美郷町西郷田代地区

アクセス
車◉東九州自動車道の日向ICから車で40分

田代神社の起源

田代神社は美郷町西郷の中心、田代地区に位置しています。神社の歴史は今から約950年ほど前、日陰山にむかって犬の遠ぼえが七日七夜も続き、山頂に不思議な光が輝きました。そこで掘ってみると鋤の先が出てきたので、それをご神体として、1032年に創建されました。当初は霧島神社と呼ばれていましたが、明治41年に田代神社と改称され、現在に至ります。

取材後記…初夏の日差しの下、豊かな大自然の中で行われる田植えの神事。澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込んで汗をかき、体を動かす。普段机で仕事をしている自分には味わえない、健康的で、心が解放される一連の行事に憧れを持ちました。文/邦馬

取材協力・御田祭実行委員会
(美郷町役場 企画情報課内)
お問合せ 0982-66-3603

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