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2025年03月20日 (木)

 中山競馬場の関西馬の馬房数は20年くらい前まで約30程度しかなく、頭数の多い週は美浦トレセンに1泊して当日の朝に中山入りする事も多々あった。
 でも馬房数が最大63に増えたのと、関西馬は東京と中山の2〜3歳未勝利戦と古馬1勝クラスはフルゲートを割らなければ使えなくなったのもあり、美浦トレセン回りというのは劇的に減ったようだ。

 今回の僕の厩舎は、昔からある関西馬の厩舎ではなく、元々は関東馬が使っていた厩舎。

僕の馬が入った厩舎。人の部屋は足らないので今回は寮に入った。
関西馬の出張厩舎と関東馬の当日輸送の厩舎を分ける通り。

 この辺を歩いていると、かつてエアグルーヴで有馬記念に来た時のことを思い出した。
 今は前日輸送が主流だが、当時は水曜追い切りで木曜出発、金曜と土曜は中山競馬場の馬場で調教というパターンもあった。
 調教した後に、グルーヴ恒例の砂浴びをした場所が、まだ今も残っていた。

 今なら砂浴びで寝転がった時の切り傷や怪我が怖くて、競馬の直前は絶対やらないだろう。昔は人(僕)も馬も気持ちがおおらかだったような気がする。

中山競馬場の関西馬出張厩舎の近くにある砂浴び場。朽ち果ててはいるが、砂はちゃんと整備されている。誰か使ってる人はいるのだろうか?

 今回は寮に2泊。部屋も綺麗だしお風呂も中にあるので快適だ。外に共同浴場があるが、冬は行き来が寒いので好んでは行かない。

今回泊まった、関西馬出張者寮。

 そして僕の担当馬のヒデノブルースカイの7R、2歳1勝クラス(ダート1200m)の時間になった。
 前々走の装鞍がかなりうるさくて前走から厩舎での装鞍となったので、鞍を付けてから装鞍所へ出発。
 調教も少し難があったので、前走あたりから調教もレースもメンコを付ける事になった。
 メンコの是非に関しては、僕なりの意見があるが、これはまたメンコの歴史も含めてゆっくりお話しさせていただこうと思う。

前走から厩舎装鞍となり、鞍を付けて待機するヒデノブルースカイ。
午前に散歩がてら通った時の装鞍所。ここも最後かもなので目に焼き付けておこう。

 ヒデノブルースカイの種牡馬は2歳ダート戦で結果を残しているナダルで、ダートが既定路線ではあった。
 函館で芝の新馬勝ちをしたので芝を使い続けてきたが、ようやくここにきて初めてのダート戦。

パドックを周るヒデノブルースカイ。(写真提供 競馬ファンの方より)
前走からレースでもメンコを付けるようになったヒデノブルースカイ。(写真提供 競馬ファンの方より)

 レースは相変わらずの大出遅れ。しかし外から追い上げて16頭立て7着のフィニッシュ。
 上がり3ハロンはメンバー2番目で、ゲート普通に出ていれば3着は確実にあったと思われる。
 ゲート五分なら、このクラスのダート戦なら勝てると確証した。
 でもまずはゲート練習しないとダメだね…

レースを終えたばかりのヒデノブルースカイ。

 そしてもう少し身体が大きくなれば、もっと上を目指せる能力のある馬だと思う。
 ただこのレース後、一旦放牧なので、僕がいる間にまた会えるかは微妙なところだ。

 7Rの仕事が終わり、日曜出走の馬の昼飼葉を付けて寮へ戻ろうとしたら、続々と栗東トレセンからの馬運車が到着した。
 有馬記念の出走馬含む、日曜日出走の馬達だ。

夕方4時前後、栗東から日曜出走の馬達が一斉に到着した。

 ドウデュースは出れなくなったが、人馬ともにまず無事で…
 そして皆さん、健闘を祈る!

つづく

田中一征

1960年大阪府泉大津市生まれ
JRA栗東トレーニングセンター梅田智之厩舎厩務員
元伊藤雄二厩舎でワコーチカコ、エアグルーヴ、ファインモーションなどを担当。今年で43年目となり7月に定年退職予定。

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