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2024年11月21日 (木)

 ワタシが競馬の写真を撮り始めた頃(1987年)は、今よりも多くの地方競馬が開催されており、趣味や仕事でいろいろな競馬場を訪れた。

 地方競馬の情報誌「Furlong(ハロン)」の仕事では各地を訪れたが、誌面がモノクロページだったので、白黒フィルムで撮影し納品していた。(残念ながら撮影フィルム全てを納品していたので手元には残っていない)

 カラーフィルムで地方競馬を撮影していなかったか、写真を探していたら1994年(平成6年)3月に競馬最強の法則の雑誌で中津競馬場の特集をすることになり、撮りに行っていた当時の写真が出てきた。

 今は無くなってしまった中津競馬場を懐かしく思いながら、当時の雰囲気をお伝え出来ればと思う。

多くのファンが来場していたスタンド©Shuhei-Okada.com
入場料50円の中津競馬場入口©Shuhei-Okada.com

 大分県中津市にあった中津競馬場は、島根県にあった益田競馬場に次いで日本で二番目に小さい競馬場として知られ、また佐賀競馬場(佐賀県)、荒尾競馬場(熊本)と九州グレード競走を相互で施行するなど、九州の競馬を盛り上げようとしていたが、累積赤字を理由に2001年(平成13年)に廃止となり、77年の歴史に幕を下ろした。(跡地は大貞総合運動公園に生まれ変わり中津市総合体育館も整備された)

©Shuhei-Okada.com
©Shuhei-Okada.com
パドック©Shuhei-Okada.com
©Shuhei-Okada.com
1コーナー、パトロールタワーから©Shuhei-Okada.com
1コーナー側からの撮影©Shuhei-Okada.com
スタンドから撮影、レース後に引き上げる競走馬©Shuhei-Okada.com

 この日は3月21日、春分の日の祝日ということもあって、想像以上にお客さんがいて、とても賑わっていた。(日本で二番目に小さいということだったが、普段行っていた園田競馬よりお客さんが多かった)

 また取材申請をお願いしていて中津競馬場の特集ということもあり、競馬場の広報さんも撮影に協力的で、1コーナーのパトロールタワーに登ったり、1コーナー側の正面近くで撮ったりと楽しく、いろいろなアングルで撮影出来たことを思い出す。

 ただ一般エリアのゴール前は手前の植木が邪魔をしてとても撮りにくい印象が、強く残っている。

ゴール前、一般エリアから©Shuhei-Okada.com
ゴール板©Shuhei-Okada.com

 今となっては当時を偲ぶ貴重な写真となったが、他の地方競馬場へ行った時もカラーフィルムで撮っておけば良かったなと、ちょっと後悔している。
 中津競馬場の廃止がきっかけとなり、その後、雪崩を打ったように地方競馬場の廃止が相次いで起こった。今の時代のような馬券のネット販売がもう少し早く始まっていれば、今も続いていた競馬場があったかもしれない、そう思うと残念だ。
 ここにきて海外のマカオやシンガポールも競馬場を廃止して、宅地などへ跡地を転用する動きも出てきている。
 特にシンガポールのクランジ競馬場は施設も立派で、日本馬が活躍した舞台でもあり、ロケットマンなど活躍馬も排出したので、廃止の発表にはとても驚いた。(日本以上に土地が少ないシンガポールでは、広大な土地を競馬場のままにしておくよりは、その跡地を別の形で有効活用することが求められていたのかもしれないと思うと、残念である)
 マカオもシンガポールも数回訪れたが、とても雰囲気が良く、いずれは当時を偲ぶ懐かしい写真になるのだろうと思う。
 写真を撮れる時に撮って、次の世代に残して行くことが競馬写真家としての使命だと感じている。

岡田修平

1969年 大阪府池田市生まれ
工芸高校写真工芸科、在学中に川本武司氏に師事。
1987年の卒業と同時に「JRA関西広報カメラマン」として撮影を始める。
また師匠の勧めで大阪芸術大学写真学科に進学、卒業後フリーカメラマンとして活動。
競馬をメインフィールドに雑誌、ポスター、カレンダー、DVD等に作品を発表。
フランス凱旋門賞をはじめ、海外大レースの撮影に積極的に参加。
最近は、各インターネット媒体コンテンツへの写真提供もこなし、更なる飛躍を目指している。

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