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2024年10月05日 (土)

2005年 日本ダービー©スポーツニッポン新聞社

ディープインパクト
Deep Impact

牡、2002年3月25日生まれ
父サンデーサイレンス
母ウインドインハーヘア(父Alzao)
馬主/金子真人ホールディングス(株)
調教師/池江泰郎
生産牧場/ノーザンファーム
通算成績/14戦12勝

 無敗の三冠制覇など競走馬としてのディープインパクトは文句のつけようのない成績を残した。「史上最強馬」と呼ばれて当然の走りだった。だが今後、ディープインパクトの名が競馬の歴史の中で語り継がれるとしたら、それは種牡馬としての実績だろう。

 初年度産駒のマルセリーナが2011年の桜花賞で優勝したのを皮切りに、22年にアスクビクターモアが菊花賞制覇をするまで、12世代連続で産駒がクラシックレースで優勝した。優秀な子どもを次から次へと送り出した。ディープインパクトは過去のどんな種牡馬も達成できなかった大記録を残した。

 改めて産駒のクラシック制覇をまとめてみた。桜は桜花賞、オはオークス、皐は皐月賞、ダはダービー、菊は菊花賞を表す。

 【2011年】マルセリーナ(桜)【12年】ジェンティルドンナ(桜、オ)、ディープブリランテ(ダ)【13年】アユサン(桜)、キズナ(ダ)【14年】ハープスター(桜)【15年】ミッキークイーン(オ)【16年】ディーマジェスティ(皐)、シンハライト(オ)、マカヒキ(ダ)、サトノダイヤモンド(菊)【17年】アルアイン(皐)【18年】ワグネリアン(ダ)、フィエールマン(菊)【19年】グランアレグリア(桜)、ラヴズオンリーユー(オ)、ロジャーバローズ(ダ)、ワールドプレミア(菊)【20年】コントレイル(皐、ダ、菊)【21年】シャフリヤール(ダ)【22年】アスクビクターモア(菊)

 コントレイルが三冠に輝き、ジェンティルドンナも牝馬三冠を達成した。16年にはディーマジェスティ、マカヒキ、サトノダイヤモンドという別々の3頭で皐月賞、ダービー、菊花賞を制した。クラシック全勝種牡馬は8頭いるが、桜花賞5勝、オークス4勝、皐月賞3勝、ダービー7勝、菊花賞5勝の計24勝は最多勝である。

 ディープインパクトは種付けシーズン途中に体調を崩し、19年7月30日に17歳で死んだため、20年に生まれた最終世代は国内外合わせて12頭しかいなかった。

代表産駒コントレイル 2020年 菊花賞

 そんな数少ない産駒の中から最高傑作ともいえる名馬が現れた。アイルランドで生まれたオーギュストロダンだ。オーギュストロダンはアイルランドの生産者が繁殖牝馬を日本に送り込み、ディープインパクトと交配。受胎したのを確認して、牝馬をアイルランドに連れ戻して、出産させたのがオーギュストロダンである。オーギュストロダンの母は英国とフランスでGⅠを3勝したほどの成績を挙げていた。一流の繁殖牝馬をアイルランドから日本へ送り込むという手間をかけ、高額の種付け料を支払う。それほどのリスクを負っても手にしたいのがディープインパクトの遺伝子だった。その名声は世界中で高まっていた。

代表産駒ジェンティルドンナ 2012年 オークス

 オーギュストロダンはアイルランドの名門エイダン・オブライエン厩舎に預けられた。まず2歳時にGⅠを制し、23年のクラシック候補になった。日本の皐月賞に当たる英2000ギニーでは1番人気に支持されたが、いいところなく12着に終わった。しかし英国ダービーでは2000ギニーのレースぶりとはうって変わって鮮やかな追い込みを見せ、見事に優勝をさらった。

 オーギュストロダンはその後、アイルランドダービー、米国のブリーダーズカップ・ターフとGⅠレースの勝ち星を積み上げた。オーギュストロダンは24年も現役を続けているが将来は必ず種牡馬になる。ディープインパクトのDNAはオーギュストロダンを通して世界に広がる。

有吉正徳

1957年、福岡県出身。82年に東京中日スポーツで競馬取材をスタート。92年に朝日新聞に移籍後も中央競馬を中心に競馬を担当する。40年あまりの取材で三冠馬誕生の場面に6度立ち会った。著書に「2133日間のオグリキャップ」「第5コーナー~競馬トリビア集」

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