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2024年11月21日 (木)

2010年 天皇賞(秋)©スポーツニッポン新聞社

ブエナビスタ
Buena Vista

牝、2006年3月14日生まれ
父スペシャルウィーク
母ビワハイジ(父Caerleon)
馬主/サンデーレーシング
調教師/松田博資
生産牧場/ノーザンファーム
通算成績/23戦9勝

 ブエナビスタのデビュー戦は「伝説の新馬戦」と呼ばれている。そのレースは2008年10月26日、京都競馬場の芝1800㍍で行われた。なぜ伝説の新馬戦と呼ばれるようになったのか。それは翌年10月の菊花賞が終わって初めて分かることになる。

 この新馬戦で1着になったのがアンライバルド。翌年の皐月賞馬だ。2着はリーチザクラウン。翌年の日本ダービー2着馬である。3着がブエナビスタ。翌年、桜花賞とオークスの牝馬2冠に輝く。4着はスリーロールス。翌年の菊花賞馬だ。のちのクラシック5レースの勝ち馬のうち計4勝することになる3頭が顔をそろえていたわけだ。おまけにダービー2着馬までいる。そんな豪華メンバーによる新馬戦だったから、振り返って、伝説の新馬戦と言われるようになった。

 このレースで1番人気になったのが牝馬ブエナビスタだった。父は日本ダービー馬スペシャルウィーク、母はGⅠ阪神3歳牝馬S(現阪神ジュベナイルフィリーズ)を制したビワハイジ。両親ともGⅠ優勝馬という血統だ。母のビワハイジは繁殖牝馬として優秀で、ブエナビスタ以外の産駒も次々と重賞勝ちを収めた。アドマイヤジャパン、アドマイヤオーラ、トーセンレーヴ、ジョワドヴィーヴル、サングレアルと、ブエナビスタを含めたきょうだい6頭でJRAの重賞15勝の記録を残す。

2011年 ジャパンカップ©スポーツニッポン新聞社

 3着だったとはいえ、デビュー戦で見せたブエナビスタの追い込みは目を見張るものがあった。伝説の新馬戦でなく、通常のメンバー構成だったら、このレースも勝っていたはずだ。次のレースから真価を発揮して5連勝。連勝の中には阪神ジュベナイルフィリーズ、桜花賞、オークスという3つのGⅠレースが含まれていた。

 最後の直線で必ず追い込んでくるブエナビスタはファンに愛された。09年の札幌記念から有馬記念まで4連敗したが、それでもずっと1番人気に支持され続けた。4歳になった10年にはヴィクトリアマイル、天皇賞・秋を制し、GⅠ勝利は計5勝になった。この間もずっと1番人気であり続けた。

 5歳になった11年は年明けの海外遠征を含め4連敗。前年のジャパンカップから6連敗を喫し、年齢的な衰えを感じさせた。迎えたジャパンカップは国内20戦目。初めて1番人気をほかの馬に譲り、2番人気に甘んじた。これに奮起したわけではないだろうが、レースではブエナビスタらしい勝負根性を見せ、トーセンジョーダンをクビ差競り落とし、1年1カ月ぶりの勝利を挙げた。続く有馬記念で7着になり、競走生活を終えた。

 1番人気連続19回はJRAの最多記録だ。GⅠ6勝。海外も含めるとGⅠ2着も7度ある。JRAでの獲得賞金13億8643万3000円はアーモンドアイに次いで牝馬で歴代2位だ。JRA賞は4年連続して受賞した。08年は最優秀2歳牝馬、09年は最優秀3歳牝馬、10年は年度代表馬と最優秀4歳以上牝馬、11年は最優秀4歳以上牝馬に選ばれた。

有吉正徳

1957年、福岡県出身。82年に東京中日スポーツで競馬取材をスタート。92年に朝日新聞に移籍後も中央競馬を中心に競馬を担当する。40年あまりの取材で三冠馬誕生の場面に6度立ち会った。著書に「2133日間のオグリキャップ」「第5コーナー~競馬トリビア集」

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