UMATO

2024年09月19日 (金)

2021年 桜花賞©スポーツニッポン新聞社

グランアレグリア
Gran Alegria

牝、2016年1月24日生まれ
父ディープインパクト
母タピッツフライ(父Tapit)
馬主/(有)サンデーレーシング
調教師/藤沢和雄
生産牧場/ノーザンファーム
通算成績/15戦9勝

 グランアレグリアを「史上最強のマイル女王」と呼んでも異論は出ないだろう。とにかくマイル戦(距離1600㍍戦)では抜群の強さを見せた。2019年の桜花賞、20年の安田記念、20、21年のマイルチャンピオンシップ2連覇、21年のヴィクトリアマイルと1マイルで行われるGⅠを5勝した。史上初の快挙だった。このほかに2歳時のサウジアラビアロイヤルカップも勝っており、JRAマイル重賞は史上最多の6勝になる。

 競馬には「根幹距離」というものがある。1200㍍、1600㍍、2000㍍、2400㍍と400㍍ごとに基本になる距離が定められている。短距離馬、マイラー(1マイルを得意とする馬)、中距離馬、長距離馬の各部門の王座決定戦はこの根幹距離で争われる。

 桜花賞を制し、一流マイラーとなったグランアレグリアは4歳の20年、新たな分野にチャレンジした。1200㍍の高松宮記念への挑戦だった。1400㍍の阪神カップで優勝経験を持っていたが、1200㍍戦に出走するのは初めてだった。1位入線馬の降着などのアクシデントもあったが、グランアレグリアはハナ差の2着に終わった。それでも関係者はチャレンジをやめなかった。同年10月のスプリンターズS(中山競馬場、芝1200㍍)に向かった。前半は後方に位置したグランアレグリアだったが、ルメール騎手のゴーサインを受けると目の覚めるような末脚を発揮。あっという間に先頭に躍り出て、ゴールでは2馬身差をつける圧倒的な内容で短距離王者の座についた。

 若いころは気持ちが高ぶりすぎる面もあったが、年を重ね、レース経験をへるごとにグランアレグリアは冷静になっていった。関係者は才能豊かなグランアレグリアにさらなる課題を与えることにした。中距離に属する2000㍍戦への挑戦だった。

 21年4月、阪神競馬場で行われた大阪杯(芝2000㍍)へ出走した。1歳年下の三冠馬コントレイル、GⅠ馬サリオスらとの対戦になった。しかし、あいにくの雨で重馬場のコンディションとなり、グランアレグリアは持ち前のスピードを生かすことができなかった。レイパパレの逃げ切りを許し、グランアレグリアは4着。コントレイルは3着でサリオスは5着だった。秋には再び2000㍍の天皇賞・秋(東京競馬場)に挑んだが、結果はエフフォーリア、コントレイルに続く3着だった。短距離、マイル、中距離という「3階級制覇」はならなかったが、果敢なチャレンジは称賛を浴びた。

 ラストランは21年11月のマイルチャンピオンシップだった。GⅠ優勝馬が6頭も顔をそろえる豪華な組み合わせになったが、単勝オッズ1・7倍という圧倒的な1番人気に支持されたのはグランアレグリアだった。結果も本命馬の横綱相撲だった。

 前年に続くマイルチャンピオンシップ連覇は史上6頭目だったが、牝馬の連覇はグランアレグリアが初めてだった。引退レースの勝利により、通算獲得賞金も10億円を超えた。

2021年 マイルチャンピオンシップ©スポーツニッポン新聞社

有吉正徳

1957年、福岡県出身。82年に東京中日スポーツで競馬取材をスタート。92年に朝日新聞に移籍後も中央競馬を中心に競馬を担当する。40年あまりの取材で三冠馬誕生の場面に6度立ち会った。著書に「2133日間のオグリキャップ」「第5コーナー~競馬トリビア集」

おすすめ記事

  • 凄馬|タイキシャトル

    2024年09月13日 10時00分

  • 凄馬|オルフェーヴル

    2024年09月06日 10時00分

  • 凄馬|エイシンフラッシュ

    2024年08月30日 10時00分

  • 凄馬|シンボリルドルフ

    2024年08月16日 10時00分

  • 凄馬|ホッコータルマエ

    2024年08月09日 10時00分

  • 凄馬|フサイチコンコルド

    2024年08月02日 10時00分

PAGE
TOP