いつものパターンではあるのだが、6月23日に公開した当コラムで内田利雄元騎手による、ラジオたんぱ杯(カッツミー)制覇について書いた後、その内田騎手を育んだ宇都宮競馬場の跡地をどうしても見たくなってしまった。
ということで、休日を利用して宇都宮まで出かけてみたので、ここに記しておきたい。
まずは東京から東北新幹線で宇都宮駅へ。西口に降り立つと、あちこちからラー油の匂いが襲いかかってきた。さすがはギョーザの街である。


そして「秘密のケンミンSHOW」などでも、さんざんコスられている「餃子像」を見届ける。設置の由来やら、移転時のあれこれなどストーリーの多い像だが、それは当欄で紹介すべきことではない。興味の湧いた方はそれぞれ調べてほしい。結構、面白い。
宇都宮競馬場跡地は東武宇都宮から3駅目の「西川田」という駅から近い。ということで、東武宇都宮駅を目指す。

地図で見る限り、JR宇都宮駅西口から徒歩で行けそうなので、歩いて目指したが、歩いても歩いても駅に着かない。有名な「二荒山神社」を過ぎ、20分以上歩いて、ようやく着いた。あとで調べたところ、1.8キロもあった。
「JR川崎駅と京急川崎駅」、「JR船橋駅と京成船橋駅」、「JR八王子駅と京王八王子駅」のようなイメージで歩くと、とんだ大汗をかいて後悔するので、首都圏の皆さんは要注意。もし、これから宇都宮に行かれる方は、ここは迷わずバス移動を。
西川田駅に到着。競馬場跡地側でもある東口に出ると「栃木県総合運動公園」の案内図があった。元の競馬場は今、運動公園の一部となり、「カンセキスタジアムとちぎ」という陸上競技場兼サッカースタジアムとなっていた。
白い屋根が特徴的で2万5000人を収容可能。J3・栃木SCがゲームを行う立派なスタジアムだ。ローカル線の小さな駅という風情の西川田駅とはあまりにアンバランスで、ゲームの日、駅員さんは大変だろうと、余計な心配までしてしまった。

ということで、駅からスタジアムを目指して歩く。すると、いきなりお宝を見つけた。競馬場の駐車場跡である。看板も当時のまま。ここは再開発されておらず、人が立ち入らないよう厳重に閉鎖されていた。


いずれ、運動公園絡みで何らかの利用をするか、民間が住宅開発をする土地なのかもしれない。そのプロジェクトが動き出せば、この看板もなくなるのであろう。
さらに“競馬場”に向けて歩く。あとで気付いたことだが、歩いていた通りは今でも「競馬場通り」と呼ぶようだ。何というか、ありがたい限り。
途中で「麺屋Booth」というラーメン店があり、外にも人が並んでいた。筆者は寄れなかったが、人気で評判のお店のよう。チャンスがあったら、ぜひ食してほしい。
スタジアムに到着。かつて、メインスタンドやパドックがあったと思われる大きめの駐車場を歩きつつ、1コーナー方面に向かうと、あったあった。「競馬場通り」のバス停。今回はこれを写真に収めに来たといっても過言ではない。JR宇都宮駅行きのバスが15分おきに走っている様子だ。



さらに足を伸ばして本格的に旧1コーナーへ。ありました。競馬場の名残である独特のカーブ。競馬場のコースだったところが、ほぼそのまま、ジョギングコースとなっている。これまでも旧競馬場のカーブ跡地をいろいろ訪ねてきたが、ここまできれいな円弧は初めてだった。

本当はまるまる1周、ジョギングコースを回るべきなのだろうが、猛暑ゆえにここで断念。「競馬場通り」からバスに乗り、JR宇都宮駅へと戻って、ギョーザに舌鼓を打った。
きれいな運動公園と巨大スタジアムに生まれ変わっていた旧競馬場。それはそれで誇らしいが、やっぱり馬が走っていてほしかった。競馬とギョーザを旅打ちで同時に楽しめたら、どんなに幸せだったかと思う。でも、お薦めコースですよ!