ゴールドシップ
Gold Ship
牡、2009年3月6日生まれ
父ステイゴールド
母ポイントフラッグ
母父メジロマックイーン
馬主/小林英一ホールディングス
調教師/須貝尚介
生産牧場/出口牧場
通算成績/28戦13勝
ゴールドシップは国内で27戦して13勝。13億9776万7000円の賞金を獲得した。中央競馬では歴代6位。毛色別では芦毛のナンバーワンだ。
最終的にGⅠを6勝することになるが、その初勝利は2012年の皐月賞だった。前年7月の函館競馬場でデビューし、ここまで5戦3勝。共同通信杯で重賞初制覇を果たした勢いに乗っての皐月賞出走だった。
レースは内田博幸騎手のファインプレーが光った。ライバルたちが荒れた内側を避けて通る中、ゴールドシップをインコースに導き、あっという間に先頭に立つ。ゴールでは2着馬に2馬身半差をつけていた。ダービーは5着に終わったが、菊花賞で見事に巻き返した。序盤は最後方で待機。向こう正面でスパートを開始。最後の直線で早めに先頭に立ち、後続を突き放して優勝した。皐月賞と菊花賞の二冠に輝いたのは12年ぶり8頭目だった。
ファン投票6位で選ばれた有馬記念だったが、レースでは1番人気の支持を受け、完勝した。皐月賞、菊花賞、有馬記念と3つのGⅠを制し、この年、JRA賞の最優秀3歳牡馬に選ばれた。
しかし4歳以降のゴールドシップは父ステイゴールド譲りの気難しさを出すようになった。気分がいい時は快勝するのだが、訳のわからない負け方もするようになった。3歳までは、そうした面が目立たなかった。3歳の有馬記念までGⅠは4戦3勝と安定した成績だったのに対し、4歳以降は仏・凱旋門賞を含め12戦3勝。「気分屋」のレッテルを貼られてしまった。
ただ不思議なもので、勝ったり負けたりする「人間味」のあるゴールドシップはファンの支持を集めた。5歳時の14年、6歳時の15年には宝塚記念、有馬記念ともにファン投票1位の得票を集めた。
ゴールドシップの母系をたどると星旗という繁殖牝馬に行き着く。星旗は1931(昭和6)年に下総御料牧場が米国から輸入した。星旗は日本ダービー馬クモハタの母になった。クモハタは内国産馬として初めて中央競馬のリーディングサイアーになった馬で、戦後の競馬を支えた。また星旗の母系からは日本ダービー馬のハクチカラが生まれた。米国に遠征。日本生まれの競走馬として初めて米国の重賞勝ちを収めた歴史的名馬である。
80年以上も引き継がれてきた母系は米国をルーツにしていても、長い年月をかけ、日本の風土になじんだ。ゴールドシップが2歳から6歳までの5シーズンを大きなけがもなく走り切れたことが日本に根を張った血統の強さの証明になっている。
3歳から6歳までの4年間、毎年、GⅠを勝ち続けた。4年連続でGⅠ優勝の実績を残した馬はゴールドシップ以外には5頭しかいない。メジロマックイーン、メジロドーベル、アグネスデジタル、ウオッカ、ブエナビスタである。丈夫で長持ち。健康だったからこそ可能な業績だった。