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2024年12月04日 (水)

2022年 天皇賞・秋©スポーツニッポン新聞社

イクイノックス
Equinox

牡、2019年3月23日生まれ
父キタサンブラック
母シャトーブランシュ
母父キングヘイロー
馬主/シルクレーシング
調教師/木村哲也
生産牧場/ノーザンファーム
通算成績/10戦8勝

 イクイノックスは2023年の世界ナンバーワン競走馬に選ばれた。ランキングを決める数値であるレーティングは135をマークした。競走馬の強さを数字で表す試みは1970年代に欧州で始まった。以来、対象は世界に広がり、日本調教馬もランク入りするようになった。

 日本調教馬が年間1位に輝いたのは14年のジャスタウェイ以来2頭目の記録だったが、この時のジャスタウェイのレーティングは130だった。イクイノックスに与えられた135というレーティングは日本調教馬が獲得したレーティングとしては、1999年にエルコンドルパサーが得た134をしのぐ、歴代最高になった。23年のイクイノックスはそれほど完璧だった。

 4歳初戦はアラブ首長国連邦(UAE)のメイダン競馬場で行われたドバイシーマクラシック。芝2410㍍で行われたG1レースには欧州、日本などから強豪が集まった。ルメール騎手に導かれたイクイノックスは意表をついた逃げの手に出た。ライバル9頭を引き連れ、そのまま先頭でゴールイン。2着のウエストオーバーに3馬身半もの差をつけていた。

 この勝利の本当の価値が分かるのは、レースの数か月後だった。イクイノックスに手も足も出なかったライバルたちが次々と大レースで結果を出したのだ。

 2着だったウエストオーバーはフランスでG1勝ちを収めた後、凱旋門賞で2着に食い込んだ。3着のザグレイもその後、ドイツでG1制覇を果たした。4着のモスターダフは英国でG1 2連勝を飾った。7着だったレベルスロマンスは24年にドバイ、香港、ドイツ、米国でG1 4勝を挙げた。時間がたつほど、イクイノックスの強さが浮き彫りになった。

2023年 ジャパンカップ©スポーツニッポン新聞社

 ドバイで勝利を飾ったイクイノックスは帰国初戦の宝塚記念を今度は後方からの追い込みで制覇。秋初戦の天皇賞では1分55秒2(東京競馬場芝2000㍍)という驚異的なレコードで前年に続く2連覇を達成した。そして現役最後のジャパンカップも三冠牝馬リバティアイランドに4馬身差をつけて、1着になり、競走生活最後のレースを白星で飾った。

 3歳の春までは虚弱体質で、レースの疲労が抜けず、思った通りに実戦を走ることができなかった。そんな、もやしっ子が夏を越して急成長。天皇賞・秋を快勝すると、そのままの勢いで有馬記念も制した。そして前述したように4歳時はGⅠばかり4連勝。3歳時の天皇賞・秋から引退レースとなった4歳のジャパンカップまでGⅠ6連勝と白星街道を突っ走った。この時点で国内外を合わせた獲得賞金は史上初めての20億円超えという22億1544万6100円に達し、アーモンドアイを抜いて歴代賞金王になった。

 種牡馬としてのイクイノックスも大きな期待がかけられている。24年の種付け料は2000万円。1年目の種牡馬としては異例の高額だ。12年から22年まで11年間続いたディープインパクト時代が終わり、日本の種牡馬界の勢力図は混とんとしている。数年後にイクイノックス時代が来ても誰も驚きはしない。

有吉正徳

1957年、福岡県出身。82年に東京中日スポーツで競馬取材をスタート。92年に朝日新聞に移籍後も中央競馬を中心に競馬を担当する。40年あまりの取材で三冠馬誕生の場面に6度立ち会った。著書に「2133日間のオグリキャップ」「第5コーナー~競馬トリビア集」

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