コントレイル
Contrail
牡、2017年4月1日生まれ
父ディープインパクト
母ロードクロサイト
母父アンブライドルズソング
馬主/ノースヒルズ、前田晋二氏
調教師/矢作芳人
生産牧場/ノースヒルズ
通算成績/11戦8勝
年が明けて2025年。早ければ今年の6月にコントレイルのこどもたちが競走馬デビューする。21年のジャパンカップ優勝を最後に現役引退したコントレイルは22年に種牡馬活動を始めた。1200万円と初年度としては高額な種付け料だったにもかかわらず、193頭に種付けし、翌23年に誕生したうちの130頭が血統登録を済ませた。
産駒の評判は高い。23年7月のセレクトセールには20頭が出場し、全馬が落札された。最高価格は5億2千万円を記録、平均価格は1億2860万円に達した。父ディープインパクトの「最高傑作」といわれ、父と同じく無敗で皐月賞、ダービー、菊花賞の三冠を制した。ディープインパクトの後継種牡馬としての期待は大きい。
コントレイルの母ロードクロサイトは米国の競りで落札された。この時、1歳だったロードクロサイトの購入にかかわったのがノースヒルズの関係者と同行していた矢作芳人調教師だった。輸入されたロードクロサイトは矢作厩舎に入り、競走馬になった。しかし7戦して未勝利。そのまま引退し、繁殖牝馬になった。1年目はゴールドアリュール、2年目はダイワメジャーと交配。3年目にディープインパクトを種付けし、17年に誕生したのが、のちのコントレイルである。コントレイルは母と同じ矢作厩舎で育てられることになった。
19年9月、阪神競馬場でデビューした。一番いいスタートを切ったが、福永祐一騎手は2、3番手に控え、末脚を温存した。最後の直線で追い出されるとコントレイルはトップスピードに乗った。単勝オッズ1.7倍の人気に応える楽勝で初戦を飾った。
コントレイルの株が一気に上がったのがデビュー2戦目の東京スポーツ杯2歳Sだった。東京競馬場の芝1800㍍で行われた重賞でコントレイルは5馬身差の圧勝をした。しかも優勝タイムは1分44秒5。イスラボニータが持っていた2歳のコースレコードを1秒4、オブセッションが阪神競馬場でマークした2歳の中央競馬レコードを1秒1上回る驚異的なタイムだった。翌年のダービー候補といわれるようになった。
その後も白星街道を突っ走った。ホープフルSでGⅠ初制覇。年が明けて3歳になると皐月賞、ダービー、神戸新聞杯と連勝を伸ばした。
20年10月25日、第81回菊花賞が京都競馬場で行われた。もちろん主役はコントレイル。史上8頭目の三冠制覇と史上3頭目の無敗の三冠がかかっていた。単勝オッズは1.1倍。ほとんどの競馬ファンがコントレイルの優勝を信じて疑わなかった。だが思わぬライバルがひそんでいた。特別レースで2連勝していたアリストテレスだ。
スタート直後からコントレイルの背後にとりついたアリストテレスは、影のように付きまとった。最後の直線でもコントレイルのスパートに合わせて外から迫った。2頭のマッチレースは200㍍以上続いた。コントレイルはこの厳しいマークを跳ね返し、クビ差で優勝を決めた。本来得意ではない3000㍍の菊花賞で勝ち切ったのは、コントレイルの潜在能力の高さと精神力の強さのせいだった。
あれから5年。コントレイルが父になって競馬場に戻って来る。初年度産駒の活躍に期待したい。